コアラが「性病」で絶滅のピンチ?

 現在では日本各地の動物園でも飼育されているコアラ。子供をお腹にある袋の中で育てる有袋類として知られているが、本場オーストラリアでは森林伐採や山火事などで住む場所を失い、個体数は減少を続けている。しかも、それに加えて〝ある病気〟が蔓延。現地政府は絶滅危惧種に指定することも検討している。

 ちなみにコアラを脅かす病気の正体は、世界中で年間1億人が罹患すると言われている性病のクラミジア。この細菌はコアラにも感染することが知られていたが、獣医病理学者でシドニー大学教授のマーク・クロッケンバーガー氏の調査によると、同国南東部のニューサウスウェールズ州のガネダーに生息するコアラのクラミジア罹患率は、08年は約10%だったのが今では約85%。ほとんどの個体が感染する極めて危機的な状況と言える。
 
「人間なら抗生物質で簡単に治りますが、コアラに投与すると腸内細菌まで破壊してしまうんです。その結果、主食のユーカリの葉が食べられなくなり、餓死してしまうんです」(野生動物に詳しいジャーナリスト)

 つまり、コアラにとってクラミジアは不治の病といえる。オーストラリアではワクチンの予防接種を進めているが相手は野生動物。専門家の間では「人間に対するコロナのワクチン接種を徹底させるよりも難しい」と危惧する声も多く、その効果について疑問視されている。

「ただし、全個体を保護するわけにもいかず、これ以上の有効な手立てが講じられていないのが現状。腸内細菌を破壊しない抗生物質があればいいのですが、完成したという話も聞きません。残念ながらこのまま加速度的に数を減少させることになりそうです」(同)

 罹患率も致死率も人間におけるコロナの比べ物にならないほど高いコアラにとってのクラミジア。近い将来、野生の個体は絶滅なんてことにならなければいいが……。

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