ある日突然、演歌歌手が有名女優の名をかたって改名。被害者(?)の〝新沢田亜矢子(シンザワダアヤコ)〟イヤ、田代純子(年齢非公表)がその舞台裏を洗いざらい語ってくれた。
「完全にダマシ討ちでした。00年頃に、浅草キッドさんが進行役だった『未来ナース伝説』(TBS系)というバラエティー番組に、仕事仲間(で現在は事実婚の相手)のゴージャス松野がレギュラー出演していました。私は演歌歌手として活動していましたが、収録のたびに福島から東京に遠征する松野にくっついて動いていました。半分は観光目的でしたけどね。ところがある日、収録現場に行ったら、共演者やスタッフの皆さんの様子がおかしかったの。私の顔を見るなり、ニヤニヤしているんだもん」
当初渡された台本には、沢田亜矢子との泥沼離婚裁判で仕事を失った松野が、女優の大西結花にマネージャー就任を志願するドキュメンタリー風のシナリオが書かれていたという。
「それじゃ面白くないからって、私の改名会見ですよ。しかも、あの大女優の沢田亜矢子さんを小バカにしたようなネーミング。松野にしても寝耳に水だったらしいけど、その場で彼から『仕事だから割り切りなさい』なんて説得された記憶がございます。ちょうど松野が沢田さんと裁判の真っ最中だったから、変に訴えられないよう、名字の『サ』の字に濁点が付いたんです」
あくまでフェイク記者会見だったが、撮影スタジオには本物のマスコミ各社が集結。中でも東スポは終面で「改名デビュー」とデカデカ報じた。
「ショックのあまり東京観光どころじゃないから、福島にとんぼ返りですよ。恥ずかしくて家から一歩も出られなかったわ。なんせ、田舎だから周囲の目が怖くて怖くて。だけど、地元の友人が『おいしければいいじゃない』って励ましてくれたの」
なんとか数日で立ち直って仕事を再開。演歌歌手の営業では、本来の田代純子と併記する形で「新沢田亜矢子」とクレジットされることになった。
「営業先で自己紹介するたびに、テレビを見たお客さんが大爆笑。『実物はかわいい』なんておだてられることもあったかな」
しかし、数年で再び田代純子のみの表記に戻る。とはいえ、仕事面での改名効果は抜群だったようで、
「『ビューティーコロシアム』(TBS系)で500万円もかけて顔を整形したり、『週刊現代』で袋とじ撮影に挑戦しました。改名した頃のような、田舎の体裁を気にするメンタルでは到底できない仕事ばかり。何だかんだ、いい方向に転んだかな」
訴えられることもなく、結果オーライだったようだ。
*「週刊アサヒ芸能」12月16日号より