バイデン指名の駐日大使は「ランボー」の異名をとる超攻撃派

 英「フィナンシャル・タイムズ」は5月11日、複数の関係者の話として、バイデン大統領が駐日大使に、オバマ政権で司令塔として辣腕を振るったラーム・エマニュエル氏を指名する意向を固めたと伝えた。エマニュエル氏は前シカゴ市長で61歳。

 国際政治ジャーナリストが語る。

「エマニュエル氏は民主党の下院議員を経て、2009年に発足したオバマ政権の大統領首席補佐官に就任。オバマ氏と同じシカゴを地盤とすることで、オバマ政権を支えた『シカゴ人脈』の代表格と言われた人物です。当然のことながら、当時、副大統領を務めていたバイデン氏とはいわばツーカーの仲。ただ、自他と共に認めるバリバリのユダヤ系アメリカ人で、1991年の湾岸戦争では、イスラエル国防軍に民間ボランティアの資格で参加。歯に衣着せぬ攻撃的な言動から敵も多く、『ランボー』とあだ名されることでも知られています」

 そんなこともあってか、フィナンシャル・タイムズの報道を受け、14日、約20の急進左派系団体が連名で声明を発表。「バイデン氏は重大な過ちを犯そうとしている」として、「上院は、米国を代表する大使として適任でないエマニュエル氏の指名を承認すべきでない」と表明している。

 一方で、同氏は、銃規制の強化や同性婚を支持するリベラル派としても知られるが、急進左派からは常々、「大企業寄りで、人種差別や格差の解消などの社会問題に関心がない」と批判されてきたこともあり、民主党関係者のなかには、「国内政治にあれこれ口を出されるより、いっそ大使として送り出すほうが得策なのでは」との声も出ているというが……。

「実はバイデン氏は政権発足当初、エマニュエル氏を駐中国大使に、と考えていたという話もあるのですが、そのあまりにも攻撃的な言動に、さすがに大使として中国に置くのはいかがなものか、という声が多かったようです。そこで、同盟を強化すると同時に彼にとっては処しやすい日本が選ばれた、というのが正直なところかもしれませんね。ただ、前任のハガティ氏やオバマ政権当時のケネディ大使と違い、エマニュエル氏はバリバリの政治家ですからね。日本は議院内閣制で米国のような州政府は存在しない。そういう意味では、日本の政治や行政を理解してもらうには良い機会になればいいのですが」

 さて、「ランボー」が、日本に及ぼす影響はいかに。

(灯倫太郎)

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