理由は女性蔑視発言にあらず!? 五輪ボランティアを辞退した学生たちの本音

 確実視されていた元日本サッカー協会会長の川淵三郎氏(84)の就任が、政府の意向によって白紙撤回されるなど、東京五輪・パラリンピック組織委員会のトップの人事をめぐってゴタゴタが続いている。

 そもそもの発端は2月3日、日本オリンピック委員会(JOC) 臨時評議員会での「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」という森喜朗会長(83)の女性蔑視発言だ。国内のみならず世界中から非難され、辞任会見を開くこととなった。

 今夏の開催はやはり難しいのではと言われている状況での失言騒動に国際オリンピック委員会(IOC)は「完全に不適切」と声明を発表。なかでも女子アイスホッケーの元金メダリストでもあるヘイリー・ウィッケンハイザーIOC委員(カナダ)は、「追い詰めます。絶対に」と怒りのコメントをTwitterにアップしている。

 そんな中、五輪・パラリンピックへの参加を辞退するボランディアが急増。JOCによれば、2月4日から8日までに辞退を申し出たのは約390名。東京都が別途募集していた大会期間中の道案内などの都市ボランティアも53名が同じく8日までに辞退したという。

 実は、2020年3月に開催延期が発表されて以降、登録を辞退するボランティアは後を絶たない。大学4年生のNさんに聞くと、

「春から社会人なので延期の時点でボランティアをするのは不可能でした。ただ、仮に参加できても女性にあんな物言いをする人がトップの組織ではお手伝いをしたくないです」

 一方、同じく昨年に辞退を申し出ていたという大学3年生のTさんはさらに辛辣だ。

「森会長が総理時代に“失言のデパート”と呼ばれていたのをネットで知りました。当時の失言語録のひとつに『子供を1人も作らない女性を税金で面倒見なさいというのは、本当におかしい』というのがあったけど、昔から女性蔑視をしていた何よりの証拠。東京五輪の基本原則であるジェンダーの平等を守れない人が会長なんて世界の恥。本音を言えば、さっさと辞めさせたほうがいいに決まってます」

 一時は森会長が辞任せず、続投の意思を示したことから批判の矛先はJOCや政府、公式パートナーのスポンサー企業にまで及ぶこととなった。

 今回の森会長の女性蔑視発言を機に、五輪ボランティアを辞退する声が大手メディアで取り上げられているが、すでに延期が決まった時点で取りやめる人は少なくなかったようだ。もっとも、「あんな人間が会長なら」と、ボランティアから離れていく人々の心を繋ぎとめる人望もなかったと言えばそれまでだが…。

(トシタカマサ)

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