コロナ禍でなかなか出歩く機会に恵まれなかった今年も「最もジーンズが似合う有名人」が選出された。10月12日に発表された「第37回ベストジーニスト2020」(日本ジーンズ協議会主催)。一般選出の男性部門で1位に選ばれたのは韓国の人気歌手・ジェジュン。女性部門では女優の杏が栄冠に輝いた。
「ベストジーニストと聞いて多くの人が、すでに殿堂入りを果たしている元SMAPの草なぎ剛さんを思い浮かべるのではないでしょうか。草なぎさんは筋金入りのコレクターとしても知られ、今年10月にオンエアされた『ぴったんこカン・カンSP』(TBS系)では自身のコレクションを披露。12年前に200万円で購入したリーバイスのジーンズをプロの目で鑑定してもらったところ、評価額はなんと600万円。もう1本所有していたジーンズも同じく600万円の値をつけて“殿堂入りジーニスト”の貫禄を見せつけました」(テレビ誌ライター)
なんでも、一度履いて洗ってしまうと、その価値は半減するそうで、草なぎも「あぶね…。もうちょっとで履くところだった」とコメントしていたが、お宝ジーンズをただの古着にしないために、正しい知識を身につけたいところだ。そこで、ヴィンテージ製品に詳しい、モノ系雑誌編集者に話を聞いた。
「まず初めに、ヴィンテージデニムといえば、リーバイスとほぼ同義語です。もっと正確に言えばリーバイス501シリーズ。最初に発売されたのは19世紀後半ですが、デニム生地になったのは20世紀に入ってからです。それがいわゆるヴィンテージデニムなのか、それともただのデニムなのかという節目となるのが、1978年です。この年を境に、染色方法が天然インディゴから硫化染料へと変わって、色落ちの色合いがガラリと変わるからです。以前のものの方がアタリと呼ばれるレッグの両外側の色落ちがハッキリと出ます」
実際に手にしてみて、製造年代が分かるものなのだろうか。
「マニアはデザインや染色、生地で判断できますが、詳しくない人には難しいでしょう。しかし、誰にでも判別がつくポイントが幾つかあります。まず、尻ポケットについている赤タブに記されたブランド表記。1971年の株式店頭公開を機にE(大文字)の『LEVI’S』から、e(小文字)の『LeVI’S』に変わります。また、1960年代後半に501XXからXX表記がなくなり、501になったのも重要なポイント。赤タブのブランド表記の刺繍は通常両面ですが、1936年から1952年に製造されたものは片面です。ただし“復刻版”などと銘打って、近年ヴィンテージの仕様に似せた新品も販売されてますので、注意が必要です」(前出・モノ系雑誌編集者)
もっとも高くなるのはどの年代のもの?
「1910年代以前のものなどは相当高値になるでしょうが、見かけたことはありません。比較的取引されていて、高額となるのはいわゆる『大戦モデル』と呼ばれる第二次世界大戦下で製造されたタイプ。物資不足を反映した幾つかの特徴があり、600万円の鑑定額がついた草なぎ剛さんのジーンズもこのタイプになります」(前出・モノ系雑誌編集者)
草なぎ剛のジーンズはおよそ12年で価格が3倍にまで高騰した。今後、「大戦モデル」に代表されるレアなヴィンテージジーンズが、投資の対象として注目される日がくるかもしれない。
(オフィスキング)