インド洋に浮かぶ楽園として人気のモーリシャス島沖で、商船三井が運航する大型貨物船「わかしお」号が座礁、燃料の重油約1100トンが流出したのは、7月26日のことだ。
全国紙の環境省担当記者が語る。
「事故が起こったのは、美しいサンゴ礁やマングローブ林が続くエグレット島の自然保護区沖合で、絶滅危惧種が数多く生息しているエリア。8月25日に日本の緊急援助隊が行った会見では、現在も座礁した船体の後方部がサンゴを粉砕し続けているため、海面に油だまりが広がっていき、このままいくとマングローブが枯れていく恐れがあるとのこと。そうなったら、生態系が破壊されることは避けられない。回復には15年〜20年以上かかるという専門家もいますからね。つまり、モーリシャス島は、一刻を争う緊急事態にあるということです」
現地政府は燃料の流出が確認された8月7日、環境緊急事態宣言を発令。すると、助けを求める同国に対し、世界各国から支援の声が起こった。
ところが、”当事者”である我が国の対応は、あまりにもお粗末だった。前出の記者が、ため息混じりに続ける。
「現地政府からの要請を受け、小泉進次郎環境相(39)が国際緊急援助隊を現地に派遣したのは8月11日のことですが、その数はわずか6名。しかも除染用機材を持ち込むわけでもなく、主な仕事が情報収集というのですから、現地メディアから、日本人はいったい何しに来たのか、という声があがったのは当然のことです」
モーリシャス政府は8月14日付で「環境汚染で生じた損害に関して法的責任を追及する」との声明を発表。
「本来なら、当事者である日本の環境相として、なにを置いても最優先に対応しなければならない事案なのですが、小泉大臣は8月15日、終戦記念日に靖国神社を参拝で訪れ、しかも、集まった記者らの囲み取材を無視。結局、その後の会見で、二次隊として計7名を追加で派遣すると表明したんですが、初動の遅さに加え、あまりに緊張感がない様子に、『今、大臣が行くべきは靖国ではなくモーリシャスだろう?もっとも、今は育児が忙しいから無理だろうけど……』と、記者団からも失笑がこぼれていました」(前出・記者)
小泉氏とフリーアナウンサーの滝川クリステル(42)が、官邸で電撃婚を発表したのは昨年8月だが、同時に妊娠を明かし、翌月には小泉氏が環境大臣に就任。順風満帆な滑り出しかと思ったものの、そんな日々もそう長くは続かなかった。
「昨年9月、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットでは『気候変動問題はセクシーに』と発言。それが物議を呼ぶことになり、さらに過去の女性スキャンダルがほじくり返され、クリーンなイメージが失墜してしまった。加えてレジ袋有料化の不評が追い打ちをかけたことで、『ポスト安部の一番手』とも言われた、かつての勢いもすっかりなりを潜めてしまいました。今は公務が終わると自宅に直帰し、子供を風呂に入れたり、オムツを替えたりと、もっぱらイクメンとして活動しているそうです」(政治ジャーナリスト)
重油流失事故の真っ只中、8月8日には、都内の高級ホテルで結婚記念日のディナーを堪能したというふたり。“ポスト安部”を決める9月の総裁選では、「河野さんが出れば、河野さんを応援します」と河野太郎氏への支持を表明したことで、総理の椅子が遠のいたと言われる進次郎氏。日本の貨物船が他国の環境に大打撃を与えておきながら、のんきに“結婚記念日ディナー”とは…。このままでは世界中から「環境大臣失格」の烙印を押されても致し方ないかもしれない。
(灯倫太郎)