大学病院といえば医療現場の最前線のイメージだが、名門の誉れ高い慶応大学病院で院内感染が爆発。しかもその原因が、研修医たちによるフザけた大宴会にあったというのだ。コロナ疲れを発散した乱痴気騒ぎの顛末とは……。
その一報に、専門家会議メンバーは顔面蒼白になったという。
「慶応義塾大学病院(以下、慶応病院)内で、新型肺炎患者が激増しているとザワついたのは4月2日のことでした。慶応病院の院内感染は一病院の問題ではありません。慶応の医師が(アルバイトなどで)外来診療にあたっていた他の大学病院、公立病院の同僚医師や看護師、患者も濃厚接触者になり、首都圏の病院がマヒ寸前に陥ったのです。専門家会議のメンバーは『いよいよオーバーシュートが起こる』と絶望感をあらわにしていました」(厚労省職員)
それだけではない。集団感染の原因が判明して担当者たちは、さらなるショックを受けたのだ。実に40人もの研修医が「陽性患者と濃厚接触して、経過観察中なのに研修打ち上げパーティーを開いていた」ことがわかったのである。慶応病院関係者が明かす。
「情けないことに研修医の集団飲酒が発覚したのは、他病院の研修医と指導医から指摘があったからと聞いています。パーティー首謀者は慶応医学部時代から素行不良で知られ、今年度から後期研修を始める3年目の札付き研修医。全国の研修医の情報交換の場であるLINE上で打ち上げパーティーの模様を実況。一つ下の後輩医師にキスを強いたパワハラ、性的ハラスメント写真まで全国の研修医に拡散したのです。この写真が一部週刊誌に掲載されました」
ここで慶応研修医が招いた医療機関「崩壊ドミノ」の流れを整理しておこう。
コトの発端は今年1月中旬、国内初の死者となった高齢女性が乗り合わせた浅草の屋形船での集団感染だった。2月に入り、集団感染患者が体調不良を訴え、受診したのが、地元の永寿総合病院である。
永寿総合病院は台東区の地域拠点病院で、慶応病院から医師が派遣されている。新型ウイルスは1カ月間で永寿病院の医療従事者をむしばみ、3月24日時点で死者2人、120人を超える院内感染患者が出て診療業務を中止した。
そして永寿総合病院で診られなくなった患者を受け入れたのが、他ならぬ慶応病院である。ところが3月26日に、恐れていた事態が発覚する。永寿総合病院から転院してきた患者1人から陽性反応が出たのだ。
ここでの対応自体は悪くなかった。慶応病院の北川雄光病院長は院内感染が起きた可能性があると記者会見を開くと同時に、当日に予定されていた同病院研修医の修了式を中止。陽性患者を診ていた担当医が研修医の指導もしており、研修指導医、研修医は陽性患者と濃厚接触していた可能性があるため、修了式後の会食もやめるよう注意したという。そのやさき、くだんの乱痴気宴会が開催されたのだ。
「北川病院長が研修医たちに会食自粛を求めたのは、専門家会議や都道府県知事が若者に外出自粛を求めているのとは意味が違います。今回集団感染した研修医と指導医は新型肺炎陽性患者と濃厚接触していて順次PCR検査の対象者でもあった。自分が感染していて、患者や同僚、飲食店店員にも感染させる恐れがあるのに、よりにもよって北川病院長の『宴会禁止令』が出された直後に宴会を強行した。しかも嫌がる1年下の初期研修医まで飲み会に呼び出し、感染リスクの高いキスを強要。蒲郡のコロナ男と比べても相当悪質です」(前出・慶応病院関係者)
首謀者はもとより、参加した医師たちからは倫理観のかけらすら感じられないのだ。
※慶応病院「コロナぶちまけ大宴会」の全真相(2)に続く