「チップ箱」で対応する店も…インバウンド激増で発生した飲食店の「チップ問題」

 今年3月の訪日外国人観光客は349万人を超え、前年同月比で13.5%増となり、過去最高を記録した。3月までの累計は1053万7300人で、過去最速で1000万人を突破した。

 圧倒的なインバウンドの数に恩恵を受けている飲食店は多いが、ここにきて話題になっているのが「チップ問題」だ。基本的に日本ではチップ文化は存在せず、通常はサービス料として料金に含まれているケースがほとんど。「訪日観光客消費者ホットライン」でも、以下のように説明している。

「欧米のレストランなどでは食事後にサービス料としてチップを払いますが、日本ではチップを払う習慣はありません。飲食店等でサービス料をとるお店もありますが、大体の場合は、会計時に請求される代金に含まれています。良いサービスを受けたと感じたら、チップの代わりにお礼の気持ちを店員に伝えるようにすると良いでしょう」

 そんな中、牛かつ専門店「牛かつ もと村」のとある店舗で、「チップ箱」なるクリアボックスの存在が確認され、注目を集めている。

 Xには日本円やドル紙幣が満載になった写真が投稿されており、《アメリカでは1ドル札はあるけど日本では1000円札からしかないのでこれは上手い方法だ》《あたかも入れるのが当たり前であるかのような雰囲気》などと、反響を呼んでいるが、一方で《会計的にどう処理するんだろう》という疑問の声も。

「店舗がまとめてチップを集めるような場合は、売上の一部とみなされる可能性があり、その場合は、法人税の対象となります。また、店舗がチップを従業員に分配する場合は、給与所得や雑所得として扱われるため、店舗側は源泉徴収義務が発生。所得税や社会保険料の計算に含める必要がありますね」(フードライター)

 日本ではまだまだ馴染みの薄い文化だけに、チップボックス設置の賛否や税金の扱いまで、大きな注目が集まったようだ。

(ケン高田)

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