「九州男児」と聞いて、どんな男性を想像するだろうか。九州の新聞社のアンケート調査によると、「亭主関白」や「がんこ」に加え、「男尊女卑」「融通が利かない」「大酒飲み」などが上位に来たようだ。昭和の時代ならともかく、現在では地元の人からも決していいイメージを持たれていない言葉なのかもしれない。
イメージだけでなく、「リアル九州男児」は存在するようで、SNSでは、《うちはお父さんの夕食のおかずが一品多かった》《九州のおっさんの男尊女卑っぷりはすごいぞ》《親族の集まりでは、男は酒飲んで座敷から出てこず、女はずっと料理作って酒運んで立ちっぱなし》などといった体験談も散見される。
ちなみに、Xでは九州男児のことを「さす九(さすが九州)」と呼ぶことがある。褒めているわけではなく、揶揄の対象としているのだ。
福岡県春日市で毎年1月に行われる「嫁ごの尻たたき」は、結婚した夫婦が神社に参拝した際、待ち受けた子どもたちがワラを巻いた棒で花嫁の尻を叩くという風習だ。花嫁が嫁ぎ先や地域に早く馴染み、子宝に恵まれるようにとの願いが込められているというが、近年は、転勤などで他の地域からやってきた家族がこの祭りに驚き、衝撃を受けるケースも少なくないという。地元市民にとっては昔から慣れ親しんだ風習だが、初めて目にした人にとっては「さす九」を感じる瞬間なのだろう。
とはいえ、今やイクメンや家事好きな九州男児も少なくないはずだ。「さす九」が揶揄ではなく、文字通りの意味で使われるようになる日は、案外、近いのかもしれない。
(ケン高田)