チョコレート高騰の裏で上昇していた「カカオ豆」関連企業の株価

 チョコレートの原料となるカカオ豆相場の高値が続いている。カカオ豆の国際指標である先物のニューヨーク市場は2024年4月、1トン=1万1000ドルを超えて過去最高値を記録。23年末に同=約4200ドルで推移していたが、24年に入って3倍近く上昇したことになる。現在も約8500ドルと高値だ。

 11月21日配信の「日本経済新聞」電子版によると、原産地である西アフリカの供給懸念で再び上昇基調になりつつあるという。今後半年ほどで、1トン=6000ドルを底値に1万ドルに達する局面もあると予測した。

 カカオ豆の主要生産地である西アフリカのコートジボワールとガーナでは、23年末から大雨や洪水、干ばつなどに見舞われ、生産量の減少が危惧されている。カカオは新しい木を植えても、実ができるまで3?4年かかるため、今後も厳しい需給環境が続く見通しだ。

 こうした影響を受けて、日本では大手メーカーが相次いでチョコレート商品の価格を値上げしているが、実は一部のカカオ豆関連企業の株価も上がっていた。

 業務用チョコレート大手の「不二製油グループ本社」の株価は11月21日、年初来高値を更新し、終値は3534円。「アルファベットチョコレート」で知られる「名糖産業」は24年1月の株価は1686円だったが、11月21日の終値は1922円と伸びを見せている。

「飲食料品に限らず、原材料費や製品価格の値上げは売上増・利益率の改善などにつながることから好材料視されることが多くあります。カカオ豆はチョコレートやケーキなどには欠かせません。需要は維持できますから、メーカーの増益も期待できます。こうした要因から一部のカカオ豆関連企業の株価が上がったと考えられます。ただし、カカオ豆を扱っているすべての企業の株価が上がるわけではありません。カカオ豆の高騰がプラス材料だとしても、そのほかの面でマイナス材料があれば、株価は下がります」(マネー誌ライター)

 カカオ豆関連企業に投資する際は、くれぐれも慎重に。

(石田英明)

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