10月14日、オランダの「ゴッホ美術館」は人気アニメ「ポケモン」とのコラボカードの配布を中止したと発表した。同美術館では、開館50周年を記念して9月28日から来館者に限定カードを配布し、現地ではカードを求める大人たちが揉み合いになるなどパニックが起きていたというが、ネット上では《美術館がポケモンを甘く見すぎ》《判断が遅い》《もっと早く中止すべき》といった厳しい声も寄せられている。
「配布されていたのは、ゴッホの作品の中でも特に有名な『灰色のフェルト帽の自画像』のゴッホ自身がピカチュウになっているもので、来年1月7日まで配布される予定となっていました。しかし、このカードは米オークションサイト『eBay』に数万〜数十万円の値段で多数出品されていて、多くのファンだけでなく転売ヤーも美術館に殺到。美術館によると、『少数の人たちが望ましくない状況を作った』ことから、来館者の安全のためにカード配布を中止することを決めたと説明しています」(社会部記者)
同美術館ではポスターやぬいぐるみなどポケモンとのコラボグッズも販売されていたが、多くの来館者が押し寄せて争奪戦となり、瞬く間に完売してしまった。その後、ターゲットとなったのは無料で配布されたコラボカードで、SNSにはカードを来館者が奪い合うシーンを撮影した動画が数多く投稿されていた。
「ポケモンのレアカードが無料でもらえるとなれば、こうなるのは当然ですよね。ポケモンカードはコロナ禍に再ブームとなって価値が跳ね上がりました。アメリカで行われたオークションでは、『初期版リザードン』が史上最高額の約4億3900万円で落札され、米人気YouTuberのローガン・ポール氏は『ポケモンイラストレーター』をおよそ7億1780万円で購入し、個人売買における最高額としてギネス記録に認定されました」(フリージャーナリスト)
こうしたポケモンカード熱の高まりを受けて、日本では強盗事件が発生し、アメリカでは拳銃騒動が起きていた。そうした状況の中でゴッホ美術館の対応は完全ではなく、もっと早く中止すべきだったとの意見が出たのも当然だろう。
なお、限定のコラボカードはポケモンストアで販売する可能性もあるというので、転売ヤーからは購入してはならない。
(小林洋三)