メジャーリーグのトレード期限は、米東部時間8月1日18時まで(日本時間8月2日午前7時)。ア・リーグ本塁打ランキングのトップを独走中の大谷翔平(29)の去就問題が騒がしくなってきた理由は、エンゼルスの失速だけではなかった。
去る14日(現地時間)、米放送局MLBネットワークに敏腕記者ジョン・モロシ氏が出演し、こう発言したのだ。
「複数の関係者によれば、エンゼルスのフロントは大谷翔平のトレードに関する打診を考慮する姿勢だ。期限までのトレードの可能性を排除しないほうがいい」
エンゼルスのオーナー、アルトゥロ・モレノ氏は6月に「大谷はトレード放出しない」と明言している。そのオーナー発言を完全否定したわけだが、その根拠についてモロシ氏はこうも語っていた。
「ただ、交換条件で(エンゼルスが)求める基準が物凄く高いんだ」
当の大谷だが、オールスターゲームの前日会見(10日)で去就に関する質問を受けている。大谷は間髪を入れず、「そういうのって、けっこう嘘が多いんですよね」と笑って誤魔化したが、米球宴の舞台となるT-モバイル・パークでは“不思議な行動”も見せていた。
「ホームランダービーが始まると、ベンチ前に現れ、選手たちの奮闘を楽しそうに見ていたのですが…」(現地メディア)
だが、ホームランダービーが佳境に近づいたころ、大谷は姿をくらませてしまった。気になるのは、同球場内に大谷の代理人であるネズ・バレロ氏の姿があったこと。
「2人で食事にでも行ったんじゃないか?」
米メディアもノンキに構えていた。両者は昨夏の球宴でも姿をくらませていたからだ。
「昨年は大谷自身が、代理人と会うのが久しぶりだから一緒にご飯を食べたと話していました。だから、今年もてっきりそうなんだろうと思っていました」(前出・同)
モロシ記者が語った「エンゼルスは放出トレードも考えている」という話がもう少し早くわかっていれば、各メディアも別の対応をしていただろう。2人の会食先を探し出し、「トレードの話は出たのか?」と直撃取材を仕掛けていたかもしれない。
「球宴では大谷に向けて『Come to Seattle』の大合唱が起こりました。大谷が移籍するのなら、どの球団もほしいはず。もっとも、獲得契約、トレードのいずれにしても、資金力豊富な大都市球団しか交渉のテーブルにはつけませんが」
それが、日米双方の取材陣の一致した見解である。
インターリーグでのエンゼルス‐ドジャース戦のことだった(7月7、8日)。ふだんは対戦のないナ・リーグのドジャース番記者たちは「ドジャースに来てください」と、大谷にストレートすぎる質問をぶつけていた。大谷は苦笑いするしかなかったが、じつはド軍と大谷の関係は花巻東高時代から始まっていたのだ。
「モロシ記者は『トレードに応じる交換条件が高すぎる』とも語っていましたが、その内容は明かしていません」(前出・同)
その「交換条件」を調べてみると、トレードの交渉テーブルにつけるのはドジャースだけだと思えてならないのだ。
(以下次回/スポーツライター・飯山満)