高校教師を“ブラック職種”に染める「朝課外」とは?「1日10時間以上…」

 かつては安定収入と終身雇用で人気だったが、今やブラック職種として知られるようになった学校の教員。公立中学校の採用倍率は17.9倍(00年度)から4.7倍(22年度)に激減。想像以上のハードワークにせっかく採用されても数年以内に辞める者も少なくない。

 ただし、なかでも特に激務だと言われているのは九州の高校。公立・私立問わず1時間目の前に「朝課外」と呼ばれる補習があるのだが、これが現在大きな問題となっている。

「朝課外は7時半もしくは7時45分から40〜60分程度。教師は7時までには出勤しなければならず、平日は早朝5時過ぎの起床を強いられています。そのうえ運動部の顧問だと帰宅が夜9時過ぎになることもあり、それ以外の教師でも自宅で1〜2時間の残業は当たり前。そのため、慢性的な睡眠不足に陥っている教師も少なくありません」(教育専門誌編集者)

 教師も生徒も早朝に家を出なければならないことが問題視され、近年は朝課外を廃止する高校も増えてきたが、全面廃止には程遠い状況だ。九州某県の公立進学校で数学を教える40代男性教諭は、「朝課外がなくなっても代わりに朝自習の時間や放課後に『夕課外』を設けている高校も多い。さらに夏休みや冬休みにも『夏課外』や『冬課外』があり、帰省や家族旅行もなかなかできない」と嘆く。

 これらの課外授業を廃止してほしいと内心思っている教師は多いそうだが、表立ってそれを主張することは難しいという。

「受験対策用の授業なので大学進学を希望する生徒の中には廃止に反対する者も多く、塾や予備校の代わりになるので保護者からも存続を求める声が多いのです。教師には1コマ数千円の手当が支払われるとはいえ、朝課外の日は1日10時間以上の長時間勤務。学校の判断だけで廃止を決めるのは難しいため、自治体の教育委員会や文科省主導で変えていく必要があります」(前出・編集者)

 受験生にはありがたいサービスだが、それは教師の負担の上に成り立っているのだ。

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