エンゼルスの大谷翔平選手がたった一夜で不振を脱出した。4月14日(現地時間)までは「7試合連続&30打席ノーアーチ」だったが、翌15日は1回表の第1打席で“プレーボール弾”を放つと、5回にも打った瞬間に分かる特大の2ランを右翼席中段に叩き込んだ。
一晩の間に何があったのか? 14日の試合後、「(打撃動作の)少しの動きの遅れが原因かなと思う」と、冷静に自己分析していたが、ここまで変わるとは誰も予測できなかったに違いない。
「ほんの少し、スイングに入るときの動作を早めただけのようですが、口で言うよりも実際にやってみると難しい。それができるのが大谷の凄さなんでしょう」(在米ライター)
打撃面での好不調は、取材記者陣もおおよそ分かる。試合前の打撃練習を見ているからだ。「なんとなく」ではあるが、その打球や飛距離から伝わってくるものがある。しかし、大谷の場合は違う。打者・大谷は屋内で調整することが多い。大半の選手は野外でのフリー打撃に時間を割くが、大谷は室内でのティー打撃や対戦投手の映像チェックに重点を置いているからだ。
そんなベールに包まれた部分があるからか、不振脱出に際し、「お祈りが通じたのでは?」なんてジョークも聞かれた。
不振脱出の4日前だった。アストロズ戦の試合中、凡打でベンチに帰ってきた大谷は自らのバットを撫で、また硬さを確かめるように手のひらで叩いたりしていた。
「心臓マッサージをしているみたい」
TVカメラがその様子を捉え、視聴者からそんな声も寄せられたそうだ。
ジョー・マドン監督の試合後のコメントが、その仕種のナゾをさらに深めた。「彼はとても面白いオトコなんだよ」と。
「大谷は用具にも研究熱心。とくにバットは昨年から材質、形態を変えています。しなりのあるアオダモから反発力の高いバーチ材に変え、芯の部分をややグリップ寄りにして、太さもほんの僅か太くしています」(球界関係者)
“心臓マッサージ”でバットの感触を確認し直したのだろうか。試合前のルーティンもそうだが、今シーズンはミステリアスな一面にも注目が集まりそうだ。
(スポーツライター・飯山満)