大手私鉄の東急電鉄は、田園都市線などで使用されていた8500系車両の販売を実施。すでに廃車となった中古の車両とはいえ、1両丸ごと176万円(※台車・床下機器込み)という破格の値段で大きな話題となっている。
今回売りに出された8500系は、1975~1991年にかけて400両製造され、2010年代まで同社の主力車両として活躍。つい最近まで走っていたので覚えている人も多いだろう。
「東急では廃車扱いですが、ちゃんと整備すれば現役の電車として問題なく走らせることができます。実際、一部の車両は長野電鉄や伊豆急行など地方の鉄道会社に譲渡され、なかにはインドネシアに渡った車両もあります。今回はこうして大々的に販売を行っているので、個人の購入も可能ということ。十分なスペースさえあれば自宅の庭に飾ることもできます(笑)」(鉄道ジャーナリスト)
なお、売りに出された4両は、車両の先頭部分をカットしての販売にも対応。ただし、その場合は加工にかかる費用もあり、販売価格が2420万円と大きく跳ね上がる。また、運転席のみを車体から取り外して販売することも可能で、こちらの料金は85万円。ただし、いずれも車両1両の販売が優先されるため、こちらが完売した場合は販売されないという。
「輸送費用は購入者の別途負担となります。仮に1両丸ごととなれば、一般の運送業者では当然対応ができません。運ぶ距離にもよりますが、送料のほうが車両の価格より高くつくでしょうね」(同)
現実的に考えれば、自社路線で走らせる車両を安く入手したい地方の鉄道会社、もしくはどこかの会社やお店が展示用に購入という可能性が高そうだ。それでもマニアの中には「どうしても欲しい!」という人もいるかもしれない。
高い買い物であることには変わりないが、自動車を新車で買うのと金額的には大差ない。興味がある方は、この機会にぜひ1両いかがだろうか。
(高島昌俊)