10月1日からドラッグストア最大手「ウエルシア薬局」で牛丼チェーン「吉野家」の牛丼の販売が正式に開始された。関東エリア34店舗での販売し、年内には50店舗まで拡大する予定だという。
「ウエルシア薬局で扱うのはレトルトではなく、最寄りの吉野家の店舗から納品されたテイクアウト用の牛丼とのこと。2020年6月から一部店舗で実験的に販売したところ、ランチタイムを中心に売上が好調だったこともあり、取り扱い店舗を拡大して正式販売することを決定したといいます」(フードライター)
ウエルシア薬局はこれまでも同じイオン系の「オリジン弁当」の店舗から納品した弁当を販売する店舗や北海道を中心に展開するコンビニチェーン「セイコーマート」の惣菜を扱う店舗もあり、ネット上では《ドラッグストアがスーパー化して差別化が出来なくなって競合してしまっているように思える》といった意見も少なくない。
「薬局は薬を売っていればいいという声もありますが、薬事法及び薬剤師法の改正によって医薬品販売の規制が緩和され、最近では一般市販薬をインターネットや一部コンビニでも販売するようになりました。そのためドラッグストア各社は生き残りを掛けて食品の販売に力を入れていて、20年にはドラッグストアの総売上の30%以上を食品が占めるまでに成長。その中でもウエルシアは、特に食品・惣菜売り場を積極的に拡大し、21年2月期連結決算では約9500億円の売上を記録。業界初となる売上1兆円まで目前に迫っているのです」(経済ジャーナリスト)
最寄りの店舗から調理済みの食品を仕入れるというスタイルは、ドラッグストアは店舗内にキッチンを増設するなどの経費がかからず、また飲食店からしても新規出店することなく売り場を増やせるというメリットも。今後は飲食店と提携するドラッグストアがもっと増えるかもしれない。
(小林洋三)