5位は、聖子と並ぶ80年代の歌姫・中森明菜で、デビュー曲の「スローモーション」(82年)をチョイス。
「チャートでは最高30位止まりも、以降の超人的なブレイクによって再評価された楽曲。よく伸びる中身のたっぷりつまった歌声はすでに第一人者の風格があり、しかもアイドル・ポップスとしての輝きと親しみやすさも備えています」(音楽評論家・原田和典氏)
世紀をまたいで、6位にはももいろクローバーZのメジャーデビュー曲「行くぜっ!怪盗少女」(10年)が入った。原田氏が続ける。
「1台のバンで移動しながら数十人の観客の前で歌い踊っていた少女たちが、名実ともにトップ・アイドルの仲間入り。歌詞が物語るように、彼女たちは笑顔と全力のパフォーマンスで大衆の心を奪ってしまった。抜群の運動神経を持つリーダー・百田夏菜子の“えび反りジャンプ”も語り草です」
再び80年代に戻り、7位には石川ひとみの「まちぶせ」を。同じ事務所にいた日本歌手協会理事の合田道人氏が明かす。
「デビュー4年目の出世作。同じ渡辺プロの先輩・三木聖子が76年にリリースしていて、渡辺プロの音楽学院で歌のレッスンをしていたひとみは、当時からこの歌を好んで歌っていました」
9位は広末涼子の「MajiでKoiする5秒前」(97年)を。お笑い芸人で、タブレット純・アナログタロウと定期的にアイドルイベントを開催するユリオカ超特Q氏が熱弁をふるう。
「中高生から20代まで、当時の男子はみんなヒロスエにやられてましたね。特にイントロとアウトロの『ワン、ツー、スリーフォーファイブ』のささやきに、思春期の男子はたまらなかった」
ユリQ氏は、11位のWinkのブレイク曲「愛が止まらない」(88年)にも言及した。
「松田聖子からのアイドルブームが落ち着きかけた頃に、熱を再燃させてくれたのがWinkでしょう。戦略として笑わないアイドルを貫き、さらにユーロビートの哀愁ただよう曲調も重なって、いつ芸能界を辞めるんだろうってハラハラさせた。ファンにとっては『今、応援してあげないと』という気にさせたんでしょうね。意外に芸能界には長く残っていますが(笑)」
Winkはカバーではないオリジナルの「淋しい熱帯魚」(89年)で、平成になって初の日本レコード大賞にも輝いている。