先発転向の大誤算!楽天・松井裕樹の「二軍降格」で早くも補強に動く!?

 6月29日、東北楽天ゴールデンイーグルスの松井裕樹投手の二軍落ちが発表された。昨季のセーブ王は今季から先発に挑戦しているが、前回登板の27日の日本ハム戦では5回途中で降板し、4失点。初先発の20日も4回を投げて被安打6失点1と結果を残せていない。

「先発投手に勝ち星が付く5イニングを投げきれないのだから、二軍落ちは仕方ありません。スタミナ不足の課題が指摘されています」(スポーツ紙記者)

 二軍戦で場数を踏み、再昇格を目指すことになるが、先発転向が決まった19−20年オフに周囲で囁かれていたのが、「ダメなら、またリリーフに戻せばいい」という声だ。松井はプロ2年目の2015年にクローザーに専念し、すでに通算139セーブをあげている。最多セーブのタイトルこそ昨季が初めてだったが、入団2年目以降、毎年50試合以上に登板してきた好リリーバーは、チームにとって、欠かすことのできない戦力だからだ。しかし、こんな評価も聞かれた。

「松井のいなくなった救援陣ですが、けっこう抑えているんですよね。松井と入れ代わってリリーフにまわった辛島航、新クローザーに抜擢された森原康平が頑張っています」(ライバル球団スコアラー)

 退路は絶たれた。もう、帰るところはない。松井は先発で踏ん張るしかないのだ。

「先発転向が決まり、変化球の精度を高めるなど彼なりに課題を持って取り組んでいました。ストライク先行のピッチングができるよう心掛けていたようです」(前出・スポーツ紙記者)

 そもそも、松井は先発完投型のピッチャーを目指してプロ入りした。リリーフ転向は当時のチーム事情だとされるが、実際は違った。

「クローザー抜擢の理由は、三振の取れるピッチャーが他にいないことでした。でも、結果的に松井の対バッター、『1対1』の勝負ができる長所を伸ばすことにつながりました。今回の先発転向こそが『チーム事情』ですよ」(球団関係者)

 先発陣の顔ぶれを見ればわかる。エース・則本昂大は今年30歳、岸孝之は36歳になる。新加入の涌井秀章も34歳となり、若手の先発要員である藤平尚真、安楽智大らは伸び悩んでおり、20代の“働き盛り”がいない。したがって、松井を先発で育てておかなければ、数年内に投手力がガタ落ちしてしまうと判断されたのだ。

「二軍で時間を掛けてやり直す余裕はありません。松井の先発定着に時間がかかると判断されれば、石井一久GMは先発タイプの補強に動くかもしれません。また、次のドラフトでもエースを張れるピッチャーを獲りにいくでしょう」(前出・球団関係者)

 今回の二軍落ちは単なる再調整ではなく、数年後のエースの地位をうらなううえで深刻な通達となったようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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