「今年のワースト映画をお探しの映画好きの皆さん!」という文章で始まるのが、アメリカの有名エンタメ誌「ローリング・ストーン」の最新映画批評欄。歯に衣を着せず、どんな映画や音楽も真正面から批評することで有名な同誌。ご機嫌を取りがちな日本のメディアでは考えられないほどの辛口評も少なくないので、それを楽しみにしている愛読者も多いとか。
そんな同誌で2019年も押し詰まったギリギリに、年間ワースト1位候補として挙げられたのが、日本では2020年1月24日公開のミュージカル実写版「キャッツ」。ご存じ、劇団四季でもロングランされている人気のミュージカルで、現在も東京・大井町のキャッツ・シアターは連日大盛況。そんなキャッツの実写化とあって、年明け最初のヒット候補に挙がっているのだが、その期待に反して、アメリカでは厳しい評価が続出なのである。
「ローリング・ストーン誌の映画評は満点が星5つなのですが、異例の『No Stars』。つまり星ゼロです。ちなみに現在公開中のスターウォーズ最新作は星3つ半、1年前に話題をさらった『ボヘミアン・ラプソディ』は星2つ半でした。『キャッツ』の評価については、他の業界メディアでも軒並み低評価。Rotten Tomatoesという一般批評家の声をまとめた有名サイトでは満足度はわずか19%でした。スターウォーズ最新作が57%、アナ雪2が77%ですからその差は歴然。これからの日本公開に向けて心配になりますね」(エンタメ誌ライター)
メガホンを執るのが、日本でも大ヒットした「英国王のスピーチ」「レ・ミゼラブル」でも有名なトム・フーバー監督ということで、楽しみにしている映画ファンが多い中、なぜそんなに酷評なのか。
「やはり実写とコンピューターで生成した猫人間の不気味さがネックになっているようです。評論家の声を集めてみると『とにかくホラーのようで気味が悪い』『あまりにも人間的で何を見せられているのか…』『まるで新手の艶系映画』と、あたかもおぞましいものを見たかのような批評が多いですね。ひと言でまとめれば、実写化には向かなかったということではないでしょうか」(同前)
でも、それらはあくまでアメリカ人の感覚。公開当時、本国ではあまり評判のよくなかった「グレイテスト・ショーマン」もフタを開ければ日本では大ヒット。それに、ここまで酷評されたら「見たくなる」というのが人情というものだろう。
(塚田ちひろ)