安全対策の不備は会場内でも見受けられる。万博の問題点を鋭く追及し続けているジャーナリストの西谷文和氏は、体力がない子供や高齢者の来場に警鐘を鳴らす。
「万博会場の問題点のひとつには、日陰を作るような屋根がないことが挙げられます。開催期間中の6月頃から30度を超えるような炎天下になりますから、パビリオンの入場を待つ行列の中から熱中症で倒れる人も出てくるでしょう。特に、乳幼児やご高齢の方々は体温調節がしにくいですから、命に関わるような事態にも発展しかねません」
続けて西谷氏は、万博の大きな目玉でもある、木製大屋根リングがはらむ危険性を問題視して、
「そもそも、6月から8月は、雷のシーズンなんです。雷は高い建物に落ちる性質がありますから、落ちるとしたら会場内で最も高い建物の大屋根リングに落ちますよね? 当然、その時の状況を見ながら『リングから降りてくださいね』とアナウンスされるんでしょうけど、地上に降りるための階段が8カ所しかないから、パニックになるのは目に見えています。しかも、それだけ高い建物なので、どこに避雷針があるのか確認したら、リングの手すりがその役割を果たすそうです。もし、雷が落ちるタイミングで手すりをつかんでいたら、感電死しますよ」
設備上の問題に加え、夢洲エリアが海外との輸出入の貿易拠点である点も看過できない。西谷氏が続ける。
「海外からコンテナヤードがたくさん持ち込まれる時に、ヒアリやネッタイシマカ、セアカゴケグモなども一緒に入ってきてるんです。そんな環境を知ってか知らずか、万博会場のちょうど真ん中に『静けさの森』という森林と池があるゾーンを作ったんです。ご承知の通り、蚊は水辺を好みますから、この場所を介して爆発的に増殖するでしょうね。ヒアリはかまれると火傷のような痛さがあるし、ネッタイシマカはデング熱を媒介しますから、ただの蚊が増えるだけの問題じゃないんです」
さらに木下氏は、人工島である土壌の特徴として爆発事故の可能性を拭えないと心配する。
「報道にもありましたが、昨年3月に建設現場で爆発事故が発生しました。これは、埋め立てに使用した廃棄物などから発生するメタンガスが原因です。地下にパイプを通して排出こそしていますが、そんなすぐにゼロになるわけではありません。会場の西側、グリーンワールド工区がちょうどガスが発生しやすいエリアなんですが、そこは会場への通り道になります。だから、爆発事故が起こる可能性が低いとはいえ、来場した人たちが被害にあう可能性があると言えます」
飲食店やキッチンカーの火気の取り扱いが制限されるほどの〝警戒ゾーン〟なのだ。
(つづく)