トランプ大統領がイスラエルのネタニヤフ首相と2月5日に会談した際、パレスチナのガザ地区の住民について、「別の場所への再定住を進めるべきだ」と主張したことに、世界的な反発が広まっている。
そうした中、石破茂首相が「ガザ医療難民を受け入れたい」と国会で答弁したことが、今になってさまざまな憶測を呼んでいる。大手紙外信担当記者が言う。
「トランプ氏のガザ住民移住案は、日米首脳会談の際、トランプ氏から石破氏に直接伝えられました。それに対し石破氏は、『私も国会でガザ難民の引き受けを表明したばかり』と応じたといいます」(前出・記者)
だが、国会での石破氏の難民受け入れ発言は、その直後からSNSなどで、《日本に移民が流れ込む》《強制移住に加担するとみられる》といった批判の声も続出した。
こうした声に反応したのか、石破氏はアメリカからの帰国後、ガザ医療難民受け入れについてあらためて、「現地での治療が困難なごく少数の患者を日本で治療する可能性について、鋭意検討している」と述べ、さらに、「現地に戻ることが大前提。日本への移住を目的とはしていない」と語るなど、懸念払しょくに躍起だった。
もっとも、石破氏の側近によれば、実は、トランプ氏のガザに対する考えについて、首脳会談前から霞が関やソフトバンクの孫正義氏など、あらゆる方面から徹底して調査していたのだという。
「だから石破氏は、事前に国会でガザの医療難民受け入れを表明したと言われています。そして、首脳会談でもトランプ氏にそれを伝えれば、トランプ氏のおぼえめでたくなると…。実際、トランプ氏は石破氏の考えを直接聞くと、ご機嫌になったといいます」(前出・記者)
訪米前の懸念とは裏腹に、成功裏に終えられたとの評価も高かった日米首脳会談。だが、その裏には石破氏の「周到な事前準備」があったのかもしれない。
(田村建光)