中国サッカーが没落まっしぐら…アジア最強だったクラブが突如解散の衝撃

 1月6日に解散を発表した、中国甲級(2部)リーグのサッカークラブ「広州FC」。サッカーファンなら21年に改称する前の広州恒大という名で聞き覚えのある人も多いだろう。

 2010年代には、中国超級(1部)リーグ7連覇を含む優勝8回、国内カップ戦は6度の優勝。さらに13年と15年には、アジアクラブ選手権(ACL、現ACLE)を制覇したアジア最強の一角に数えられたビッグクラブだ。

 当時、チームの指揮を執ったのは、W杯優勝監督のマルチェロ・リッピやスコラーリ、現役時代にバロンドール(欧州年間最優秀選手)を獲得した元イタリア代表主将のファビオ・カンナバーロといった大物ばかり。選手もバリオス(元パラグアイ代表FW)やジラルディーノ(元イタリア代表FW)、ディアマンティ(元イタリア代表MF)など、欧州、南米でプレーする実力者を揃え、アジアの舞台ではJリーグのクラブの大きな壁として立ちはだかっていた。

 だが、中国バブル崩壊により親会社の恒大グループが経営危機に陥り、外国人選手全員の契約を解除してクラブが弱体化。22年の超級リーグでは18チーム中17位と低迷し、甲級リーグに降格。そのまま昇格することは叶わず、中国サッカー協会(CFA)が定めた25年シーズンのクラブライセンスの条件をクリアできず、今回の解散発表に至った。

 日本でも90年代に横浜フリューゲルスが出資先企業の経営不振により消滅したが、国内リーグや国際大会でここまで実績を誇ったクラブの解散は世界的にも異例のことだ。

「驚くことに、広州以外にも昨年超級12位だった滄州雄獅、乙級(3部)の湖南湘涛のライセンス発給も停止されました。特に広州は譲渡ではなく解散ですし、裏を返せば買収する余力のある企業が中国国内に現れなかったことを意味します」(スポーツ紙サッカー記者)

 しかも、ライセンスが発給されたクラブでも親会社が厳しい経営状態を強いられているところは少なくない。

「今後もリーグ参戦のライセンス停止や解散に追い込まれるクラブが出てくる可能性はあるでしょうね。下手をすると、プロリーグ崩壊という最悪の状況になりかねません」(同)

 代表チームが26年W杯出場の可能性を残しているだけに、クラブの消滅が相次いで盛り上がっているサッカー熱に水を差すことにならなければいいが…。

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