不毛な論争「オートマ対マニュアル」に終止符が打たれようとしている!

 ネット上でたびたび勃発する「MT対AT」論争をご存知だろうか。これは文字通り、車を運転する際にMT(マニュアル)がエラいのか、AT(オートマ)がエラいのかという運転しない者にとってはどうでもいい争いで、多くはMT免許を持つ者がAT限定免許を馬鹿にすることから始まる。

 今や新車の99%がAT車の日本では、年々AT限定免許の比率が高まっており、令和元年の運転免許保有者数約8200万人に対して、MT免許が32.4%、AT限定免許が67.6%という割合になっている。あえて乗る機会の少ないMT免許を取得することで、AT限定免許を下に見ているというわけだ。

 もっとも、いくらMT免許を取得したとはいえ、街を走っている車の99%はAT車。MT車を購入しようとしても、あるのはごく一部のスポーツカーや商用車だけでは、運転する機会もほとんどないだろう。長らくAT車を運転していたことで、今ではすっかりクラッチの踏み方を忘れてしまったというドライバーも少なくないのではないか。

 そんな中、「MT車限定カーシェア」が東京で始まり、注目を集めている。No-WA CARSHARE(ノーワカーシェア)が展開しているサービスで、現在用意されているのは、マツダの小型SUV「CX-3」。MT車初心者向けに操作ガイドや動画も提供されているので、久しぶりにMT車に乗るドライバーも安心だ。左手でシフトノブを自由自在に操る感覚を味わうには、最適といえるだろう。

 近年はますますEV化が進んでおり、近い将来MT車は絶滅し、「マニュアルトランスミッション」という概念すらなくなってしまうかもしれない。そうなれば、もともと不毛とされていた「MT対AT」論争すら、過去の話になってしまうだろう。

(ケン高田)

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