「やりすぎ」との声も…地方自治体がカスハラ対策で取り入れる「録音禁止」に不満続出

 庁舎内での「録音」を禁止にする自治体が全国的に増えている。10月1日からは島根県益田市、11月1日からは栃木県の栃木市と足利市、埼玉県朝霞市も禁止に踏み切った。

 ただ、この措置に対しては批判も寄せられているという。実は、これまでも「撮影」に関しては、職員のプライバシーに配慮する形で、多くの自治体で禁止としていた。だが、録音は音声のみのため、住民や専門家から「禁止はやりすぎ」との声が上がっているのだ。

 ではなぜ、録音の禁止に至ったのか。背景には昨今問題視されている「カスハラ」があるようだ。

「窓口や電話での過度なクレームはどの区市町村でも日常的に起きており、こうしたカスタマーハラスメントにより、うつ病などを発症して退職に追い込まれた職員も少なくありません。もっとも、どの自治体も『原則禁止』であって全面的な禁止ではありません。実は、場合によっては録音もちゃんと認めているんです」(全国紙記者)

 職員の説明に専門用語が多くてわかりにくい時や、後で忘れないようにといった理由で録音したいケースもあるだろう。こうした場合は、事前に申し出て許可を取れば録音が可能だという。だが、懸念すべき点もあるようだ。

「利用者が困惑するのは、職員によって対応が異なる点です。理由の如何を問わず録音をいっさい認めようとしない職員がいたり、あっさりOKする職員もいるようです。現場の裁量に任されているからだと思われますが、きちんとしたマニュアル作りが必要でしょう」(前出・記者)

 カスハラ対策の一環としての録音禁止は時代の流れかもしれないが、職員によって差異があったり、杓子定規な対応であっては、さらなるカスハラを生むことにもなりかねないのである。

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