女性に性的行為を強要したとする「週刊文春」の記事をめぐり、お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志が、発行元の文藝春秋などに5億5000万円の賠償を求めていた裁判で、松本側が11月8日、訴えを取り下げたことが発表された。
松本は「強制性の有無を直接に示す物的証拠はないことを確認いたしました」としたうえで、「これ以上、多くの方々にご負担・ご迷惑をおかけすることは避けたいと考え、訴えを取り下げることとしました」とコメント。所属の吉本興業も早期復帰を後押しする構えだ。
とはいえ、ネット上でこのコメントを受けて“松本アレルギー”が増幅しているようにも見える。
「そもそも物的証拠がないことは、最初から文春側も認めていたこと。『事実無根』を主張して裁判に集中すると言っておいて、敗訴ですらない敵前逃亡をしたこと自体、相当に格好悪い印象を世間に与えました。さらに眉を潜めたくなったのは、『(会合に)参加された女性の中で不快な思いをされたり、心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます』という言い回しです。実際に心を痛めた人がいたから現在の状況を招いていたわけで、当事者でありながらまるで傍観者のような語り口で、これは東京大学の安冨歩教授が提唱している典型的な『東大話法』の一つ。安冨教授はこれを、権力者が用いりがちな不誠実な対応で信用できるものではないと語っています」(出版関係者)
また、訴訟を取り下げたとしても、松本にはまだ公の場で説明しなければならないこともあるはず。そもそも、文春で松本を告発した女性は10人に上り、今回の裁判はそのうちの1人だったに過ぎないからだ。
「松本の謝罪コメントは会合(飲み会)の席についてのものでした。一連の文春記事で最も悪質といえるのは、2月1日発売号での《10人目の新証言》松本人志『私の顔を無理やり下半身に…』マッサージ店での暴挙を女性店員&夫が告発」でしょう。こちらは14年に性的サービスのないマッサージサロンで働いていたI子さんが、当時客として訪れた松本から性被害を受けたことを告白しています。記事によれば、I子さんは1月に警視庁渋谷署の刑事課を訪れて相談していたとのこと。18年に新井浩文が女性従業員へ暴行を働いたケースとも酷似しており、新井は19年2月に強制性交容疑で逮捕され、芸能界から姿を消しています。松本は復帰する前にこの件についてははっきり事実関係を認否すべきではないでしょうか」(芸能記者)
松本は“うやむや復帰”を狙いたいところだろうが、世間からは「お帰り」と歓迎されると思っているのであれば、甘い考えかもしれない。