英仏は法律で禁止!日本の居酒屋「飲み放題」にインバウンドが殺到する理由

 今年の訪日外国人旅行者は、過去最多となった年間3188万人を記録した2019年を上回るペースとなっている。日本政府観光局(JNTO)によると、7月には単月では過去最高となる329万2500人(推計)が来日。19年の同月よりも10.1%も増えている。今や外国人にとって日本は、「安くて食事も美味しく治安も良い」という理想的な旅行先のようだ。

 最近では、居酒屋で外国人たちが楽しそうに飲んでいる姿を目にする機会も多い。そして、彼らが異口同音に絶賛するのが、日本の飲み屋における「飲み放題」というシステムだ。休暇で日本を訪れたシカゴ在住のジョンさんが言う。

「よく行く地元のバーやレストランだと、ビールは1杯8~12ドル(約1170~1750円)。でも、来日3日目に立ち寄った大阪の居酒屋は90分飲み放題で980円! 信じられない安さだよ」

 また、日本滞在中は2日に一度の割合で飲み放題の店に通っていたというフランス人のシルヴァンさんは、「フランスには飲み放題OKの店がないから日本がうらやましい」とすっかり虜となった様子だ。

 実は、フランスでは2009年に、英国でも10年に法律でアルコールの飲み放題が禁止となっている。それ以外の国々でも違法ではないものの、飲み放題のある飲食店は非常に少ない。

「世界保健機関(WHO)は、2010年に『アルコールの有害な使用を減らすための世界戦略』を採択しており、飲み放題のようなサービスは望ましくないと訴えています。ただ、同じ海外でも東アジアや東南アジアでは飲み放題が文化として定着しており、国や地域によって異なっている状況です」(飲食業界専門誌記者)

 飲み放題だからというわけでもないだろうが、中には泥酔して大騒ぎするなど、外国人による酒絡みのトラブルも少なくない。もちろん、飲み過ぎは日本人でも外国人でもNG。くれぐれも他の客の迷惑になるような行為は慎んでほしいものだ。

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