トヨタ認証不正 米投資助言会社の“再任不適格”指摘は正しかったのか…豊田章男会長に課せられた挽回策

 トヨタ、ホンダなど自動車メーカー5社で発覚した、「認証不正」問題。まずは6月4日にトヨタ、5日にヤマハ発動機、6日にスズキに国交省の立ち入り検査があり、ほか不正が報告されたマツダ、ホンダにも順次立実施され、行政処分が検討される見込みだ。

 ところでこの件、トヨタに関しては、まるで問題が発覚することを予言するかのようなアメリカの投資助言会社の発言が直前にあった。

「トヨタは6月18日に定時株主総会を開催する予定ですが、それを前にした5月末、アメリカの投資助言会社2社が豊田章男会長の取締役再任に反対していたのです。理由は、今回の不正発覚より前の昨年末に発覚していた、子会社のダイハツと豊田自動織機での認証不正問題で、最終的な責任はグループトップの豊田氏にあるというものでした。また1社は、取締役の独立性が不十分だとして、豊田氏だけでなく早川茂副会長の取締役再任にも反対していました。今回の不正発覚でもアメリカメディアは『恥ずべき』などと概して厳しい論調で伝えています」(経済ジャーナリスト)

 ただ、肝心の「安全性」については、専門家の間では同情的な見方もある。例えば以前にスバルで完成検査不正が発覚した時は、国の検査員の試験に合格しただけでは同社は社員に資格を与えず、検査を完了後に資格を与えていた。つまりは安全性を担保するため、念には念を入れたがために国の基準では無資格な人間に検査をやらせたとして「アウト」になってしまった、というものだ。

 また認証のよりどころは法律でなく、省令などの積み重ねで成っているという非成文的な仕組みや慣例遵守といった日本のお役所的体質からの基準が、現実から乖離しているという指摘もある。

 しかし、今回の不正判明を受け豊田会長は、「ブルータスよ、お前もか」という気持ちだとしている。つまりは身内からボロが出るとは思っていなかったわけで、やはり責任の一端は免れないだろう。その豊田氏はマスコミ嫌いで知られ、オウンドメディアの「トヨタイムズ」を立ち上げ、自ら発信。今年1月の新社長人事は同メディアで行い、世間を「あっ」と言わせた。そして今回の不正発覚を受け同メディアでは、豊田会長の「あいさつ」とカスタマーサービス本部長の「解説」を掲載している。

 だが李下に冠を正さずということであれば、同メディアで徹底的にこの問題の検証を行うべきだと思うが、どうだろうか。

(猫間滋)

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