「矛盾してない?」混乱を招いた吉野家「マスクを外して業務」張り紙の拡散

 牛丼チェーン「吉野家」が、従業員がマスクを着用せずに業務を行うとの案内を店頭に張り出し、ネット上で物議を醸した。

「5月15日、とあるXユーザーが、吉野家の店頭に掲示されていた張り紙の写真を投稿しました。その張り紙には、『当店の従業員はマスクを外して業務を行います』と書かれ、『今後も徹底した衛生管理を行ってまいります』と理解を求めています。ただ、これに賛同する一方、《マスクを外して衛生管理を徹底するって矛盾してない?》などの疑問の声が出たんです」(ネットライター)

 吉野家は2020年11月から従業員のマスク着用を義務化していたが、コロナが5類に移行して1年が経過したことから、ウェブメディアの取材に対し「5月以降、勤務中のマスク着用を原則不要としました」と説明。なお、マスクの不着用は義務ではなく、従業員個人の判断に委ねているという。ただ、マスクは飛沫を防ぐ効果があることから、《食べ物を扱う現場ではコロナに関係なくマスク着用は必須だと思う》といった意見も少なくない。

「菱神産業が昨年7月に実施した調査によると、『飲食店の従業員は不織布マスクを着用すべきか』との質問に『とてもそう思う』『ややそう思う』と回答した人の合計が70.8%にのぼったといいます。これからも分かるように、やはりまだマスクの着用を続けてほしいと考えている人が多いのも事実。加えて、今回の吉野家の張り紙ではマスクを外す理由について書かれておらず、あまりに唐突で情報が少なかったことから利用者を混乱させてしまった部分もあると思います。少なくとも従業員の判断に任せている程度は、説明書きで入れるべきなのかもしれません」(フリージャーナリスト)

 通勤電車の中ではまだマスク着用の乗客は多く、咳込む人に過敏に反応する人も少なからずいる。トラブルを避けるためにも、飲食店側には配慮が求められる。

(小林洋三)

ライフ