「三菱自動車はなぁ…」車を購入する際、今でもそんな思いが頭をよぎるドライバーもいるだろう。
三菱自動車はかつて、パリ・ダカールラリー総合優勝やWRC完全制覇などモータースポーツシーンでの活躍を背景に、パジェロやランサーエボリューションが大ヒット。ところが2000年と2004年に「リコール隠し」が発覚すると販売台数が一気に激減した。
以降、不振が続いていたが、どうやらそれも過去の話になりそうだ。12年ぶりに日本へ再導入した1トンピックアップトラック「トライトン」が爆売れしているのだ。
トライトンは元々「トラック」という特殊性と、乗用車としてはサイズが大きすぎることもあり、販売計画台数は200台とかなり控えめだった。ところが近年のSUVやクロカンブームの後押しもあり、予約だけでも約1300台を突破。3月末時点で累計受注台数は2000台を超える大ヒットとなっている。
自動車ジャーナリストが語る。
「実は先行予約の約9割が三菱自動車以外からの新規客なんです。若者ユーザーを強く意識したマッチョなデザインに加え、様々なアクティビティを楽しむにはまさにもってこいの車。若いドライバーの中には“リコール隠し”という事件自体を知らない人も少なくありません。むしろ人とは違った車に乗りたいという層に見事にハマり、大ヒットになっているんです」
2.4Lの新型クリーンディーゼルエンジンを搭載し、税込498万~540万円となかなか挑戦的な価格だが、4月18日に発売されたトヨタの「ランドクルーザー250」が税込525万~735万円と高額にもかかわらず予約が殺到。出遅れたユーザーの中にトライトンへ鞍替えする人も少なくなく、人気に拍車がかかっているようだ。
「三菱自動車はなぁ…」の抵抗感は、すっかり払拭されたと言っていいのではないだろうか。
(ケン高田)
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