ママチャリに乗った女性と自動車が互いに道を譲らずトラブルとなる動画がネット上に拡散している。ママチャリ側が交通違反をしているようにも見えるが、自動車に対してすごい剣幕でまくし立てていることから、女性に批判が殺到。「ママチャリの人」と呼び、動画を加工したり声をアフレコするなど、女性をネットミームとして扱う人も増えているが、決して軽い気持ちで便乗してイジってはならない。
「問題の動画は自動車のドライブレコーダーから撮影されたもので、ママチャリの女性が道路の右側を逆走し、赤信号も無視して右折。青信号で進もうとした自動車と正面で向かい合う形で停止して、車に対して文句を言っているように見えます。この動画には音声がないため何を言っているか分かりませんが、運転手と口論になっているようで、女性はヒートアップした様子で着けていたマスクを外し、目を剥いて怒鳴り散らしているのです。その後、女性はどこかに電話をし、運転手をスマホで撮影すると、自動車の前から姿を消したところで動画は終わっています」(ネットライター)
この動画は瞬く間にネット空間に拡散していき、女性への非難の声が集中。この動画をXにアップしたユーザーはすでに投稿を削除しているものの、転載が転載を呼んで炎上は激化し、4月16日には「ママチャリの人」がトレンド入りするほど話題になっている。さらに、この動画をAIで加工したり、実際にはしゃべっていない音声を付け加えるなどネットミームとしておもちゃ扱いする人たちが現れ、女性の名前や住所といった個人情報を特定して投稿するといった“ネット私刑”が横行しているのだ。
「元の動画がモザイク処理などを施していないため、女性の顔がはっきりと分かる状態になってしまっているのです。こうした動画を転載したり、加工してアップロードした場合、肖像権の侵害や名誉毀損になる可能性があります。実際、過去にも人物が特定できる形で画像や動画を投稿したことで訴えられたケースはいくつもあります。また、面白半分でイジリ倒した加工動画がいくつも上がっていますが、勝手にネタにされた方は大きな精神的苦痛を受けることになります。深刻な事態も予想されるため、絶対に動画を拡散させたり、もてあそんではいけません」(ITジャーナリスト)
気づかぬうちに自分が加害者にならないように注意したい。
(小林洋三)
*画像はイメージです