「第2のジャニーズ事件」に発展するのではないかと言われている、宝塚歌劇団の団員急死問題。会社は11月10日に外部弁護士の調査チームから報告書を受け取ったとし、その結果と今後の対応などについて、14日に会見を行った。
ただ、遺族側が主張する「過重労働」はあったものの「毎日」とまでは認められず、同じく「いじめ」はなしとしたものだから、遺族側の川人博弁護士もこれを受けて会見を行い、会社側の主張に怒りをにじませた。
「会社側の会見はかなりお粗末でした。調査を任せた外部の弁護士は出席せず、ヒアリングを辞退した団員が4人いたことや、最初は会社が否定していた、ヘアアイロンを押し付けられて額にヤケドを負った事実を翻して認めたことなどを突っ込まれると、アワアワといった状態。にもかかわらず、この問題の影響で開幕を延期していた宝塚大劇場での雪組の公演を“態勢が整ったから”12月1日から実施すると発表したのですから、自ら火に油を注いでいるように見えましたね」(社会部記者)
この影響で宝塚を運営する阪急電鉄のイメージも悪化。
阪急・宝塚線は宝塚歌劇団のポスターがズラリと貼られている。そのポスターを見れば、いじめやパワハラなど今回の騒動を思い浮かべる人も多いだろうし、かといって剥がしたら問題揉み消しのようにも見える。どっちみち良いイメージにはつながらない。
「阪急電鉄創業者の小林一三さんは、元は文学青年。そして宝塚歌劇団を生み出したのも、より多くの人に舞台の楽しさを知ってもらいたいという発想からでした。そうして阪急電鉄の沿線に文化を作り出した。また土地・建物を担保とした、現在の住宅ローンの走りのような住宅販売方法を考案し、沿線での宅地開発も進めました。鉄道沿線で文化を生み出しつつ宅地開発を進めて沿線価値を上げるという手法は『小林一三方式』と呼ばれ、関東では東急電鉄創業者の後藤慶太さんがこれを真似て沿線開発を行っています」(経済ジャーナリスト)
ところが今回はその「文化」に悪いイメージがついた。本来の強みである「文化」がまさかマイナスに作用するとは、小林一三氏も想定だにしていなかったことだろう。
(猫間滋)