函館ラーメンがブランド崩壊の危機!その意外すぎる理由とは

 北海道では札幌ラーメンに続くご当地ラーメンとして、旭川ラーメンと並んで人気のある函館ラーメン。だが、現在そのブランドが危機を迎えている。函館市内や周辺地域のラーメン店に麺を卸していた「丸豆岡田製麺」が8月31日までに事業を停止。その後、破産手続きに入り、このほど正式に破産したことが明らかになったためだ。

 同社は1920年創業の道内では2番目に古い老舗製麺会社。函館山の麓にあった直営ラーメン店の「新・函館ラーメン マメさん」は函館の塩ラーメンを全国区の存在にした人気店で「新横浜ラーメン博物館」にも出店したことがあったが、こちらも閉店となっている。

 市内のラーメン店店主は、「9月1日に担当者から連絡がありました。小麦相場が高騰し、経営が大変だろうとは思っていましたが、あまりに突然の報告で驚いています」と話す。

 家庭用や土産物用などの市販品もスーパーや物産店に卸しており、取引先は数百社に上る。ただし、もっとも深刻な影響を受けているのはやはりラーメン店だ。

「連絡があった翌週には麺のストックがなくなり、他の製麺所に頼み込んで卸してもらっています。なるべく似た麺を使っていますが、それでも全体の味のバランスが崩れてしまいました。微調整を繰り返していますが未だ納得できる味にはなっておらず、レビューサイトで『マズくなった』と書かれないか戦々恐々としています」(ラーメン店店主)

 業界的には自家製麺を使う店舗も多いが、麺を自分の店で作っているから必ずしも美味いわけではないという。

「スープ作りと別の技術・経験が必要だからです。作業に費やす時間も店側には負担で、製麺所は特注にも応じてくれます。実際、『こっちのほうが美味い』と自家製麺をやめた店も多いんです。でも、いくら注文が増えても小麦相場に光熱水費、人件費は軒並み値上がりしており、どの製麺所も苦しい経営を強いられているのが現状です」(飲食業界誌記者)

 東京商工リサーチの調べによると、8月までのラーメン店の閉店は前年の約3.5倍と急増。これが倒産ラッシュという形で製麺業界に波及しなければいいが…。

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