医療用大麻解禁へ向けて、政府が大麻取締法の改正案を今秋の臨時国会に提出することが産経新聞の報道で分かった。その一方、大麻の乱用を防ぐために「使用罪」を新設する方針であるという。最近では大麻で検挙される学生が相次いでいるが、なぜ大麻には使用罪がないのだろうか?
「現在、大麻の医療利用が世界中で広がりつつあります。というのも、大麻に含まれる成分の一種カンナビジオールには難病であるてんかんの治療に有効であることが判明。世界保健機関(WHO)が国連に大麻の規制レベルを下げるよう呼びかけ、2020年に国際規制が引き下げられたことから、昨年にはタイでアジア初の医療用大麻が解禁されたのです。そんな中、日本の医療関係者からも大麻の医療利用のため大麻取締法の改正を求める声が強まっていたのです」(社会部記者)
ただ、医療用として大麻を解禁したタイでは中毒者が急増するなど、不正利用が社会問題となっている。そのため、日本で医療用大麻を解禁するにあたり、使用罪を設ける方針が固められた。そもそも覚醒剤には使用罪があるにも関わらず、大麻には使用罪がなかった理由とは?
「大麻は栽培や所持については罪に問われますが、使用については罰則が規定されていません。その理由としては諸説ありますが、日本では昔から大麻草で繊維を取ったり、神事に利用されてきました。そのため栽培する農家もあるのですが、大麻を収穫する際に成分を吸い込むと『麻酔い』という症状が出ることもあり、こうした農家が処罰されないためにも大麻には使用罪を設けなかったとされています。ただ、実際には厚労省が複数の農家に尿検査を行っても麻薬成分は検出されなかったといいますから、医療用大麻解禁で使用罪が設けられることはちょうど良かったのではないでしょうか」(医療ジャーナリスト)
これ以上学生たちの大麻乱用が起こらないためにも使用罪は不可欠だろう。