大手文具メーカーの「コクヨ」と「ぺんてる」が株取得問題で揺れている中、7月29日にコクヨ側は大阪市内で決算会見を行った席で、黒田英邦社長が「両者の強みを生かせば海外事業などでウィンウィンの関係を構築できると思う」とぺんてるに対して提携のラブコールを送った。
「発端は2012年、ぺんてるの創業家で当時社長だった堀江圭馬氏が投資会社『マーキュリアインベストメント』にぺんてる株の約37%を売却したことから始まります。このぺんてる株には、マーキュリアが株を売却する際にはぺんてる取締役会の承認が必要という譲渡制限が付いていました。しかしそこへ今年5月、コクヨがマーキュリアの傘下の投資ファンドを子会社化するという裏技的な買収により、ぺんてる取締役会の承認を得ずに間接的に筆頭株主となった。これに、ぺんてる側が『寝耳に水だ!』と猛反発したのです」(社会部記者)
こうした騒動に対し、SNS上で投資家などの間では《ぺんてるが反発するのも当然》としたものと《コクヨに違法性はない。ぺんてるは筆頭株主の意見に従うべき》との意見に分裂している状況だ。
「同じ業界どうし、譲渡制限はないとはいえ、コクヨのやり方に批判が出るのは当然のことだと思います。ただ、国内で圧倒的なシェアを誇るコクヨと海外売上高比率65.8%を誇るぺんてる。両者が手を取り合えば、結果的にコクヨの黒田社長が言うようにウィンウィンな関係になれる可能性もある。ただ、ぺんてるは以前からコクヨに次ぐ業界2位の文房具メーカー『プラス』との提携を模索していたという話もあり、そうした事情と感情が、事を複雑にしているのです」(経済ジャーナリスト)
大手文具メーカーどうしのゴタゴタの解決は、まだまだ先のようだ。
(小林洋三)