「同性婚の法制化」岸田首相は否定的だけど…「LGBT市場規模」は6兆円もあった!

 2月1日に行われた衆議院予算委員会で岸田文雄首相は、同性婚の法制化について「極めて慎重に検討すべき課題」と述べ、否定的な立場を示した。

 周知のように同性婚は世界的に合法化の流れになっており、欧米諸国を中心に、現在31カ国で認められている。

 G7で容認されていないのは日本だけで、海外からは失望の声も上がっているほどだ。そうした中、「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)などでおなじみのエコノミストの門倉貴史氏は、総理の同性婚慎重発言に対し、Yahoo!ニュースのコメント欄にこう投稿した。

「同性婚を認めるには、異性のカップルを前提とした日本社会のルールを根底から見直さなければならず、それには膨大な時間とコストがかかる」

 ただし、その一方で合法化が実現すれば、「マクロ経済的なメリットは大きい」とも指摘している。

 実際、15年に合法化された米国で同性婚による挙式の経済効果は4200億円に上り、4万5000人の雇用を創出、265億円の税収増を実現した。また、11年に合法化したブラジルではサンパウロで参加者400万人規模のLGBTパレードが毎年開催され、このイベントの経済効果が130億〜156億円になったという。

「電通ダイバーシティ・ラボの『LGBT調査2015』によると、そもそも国内におけるLGBT層の商品・サービス市場規模は5兆9400億円もある。国会に提出された来年度予算案の防衛費(約6兆8219億円)に迫る金額です」(経済誌記者)

 自治体レベルでは15年に東京・渋谷区と世田谷区が始めた「同性パートナーシップ制度」を全国255区市町村(1月10日時点)が導入。これまでに4186組の同性カップル(22年末時点)が成立している。また、昨年11月からは東京都も「東京都パートナーシップ宣誓制度」を開始した。

「朝日新聞が21年に実施した世論調査では65%が『認めるべきだ』と回答。半数以上の国民が容認していますが、自民党内の保守派の議員たちがかたくなに拒否の姿勢を見せていると言われています」(前出・経済誌記者)

 同性婚の法制化が日本経済にとって大きなメリットをもたらすことは数値が示している。もちろん、経済的な要因は重要だが、ジェンダー平等な社会を築くことは世界の趨勢でもある。法制化についてはいま一度、真剣に検討する時期にあると言えるのではないか。

ライフ