今年は4月に東京証券取引所で上場区分の再編が行われ、株主優待の廃止や改悪が相次いだが、そんな中、テレビ会社のTBSホールディングスは12月13日に株主優待の新設を発表した。ところがそれがネットで話題になると、同局にとってあまり触れてほしくないような事実まで晒されてしまった。
「東証が4月に行った再編では、それまであった東証の1部と2部、マザーズ、ジャスダックのスタンダードとグロースを上から順にプライム、スタンダード、グロースの3つの区分に統合・整理しました。すると、株主数の規定が緩和されて広く薄く多くの投資家に株式を保有してもらう必要がなくなり、公平性の観点から機関投資家や大口投資家にとってはメリットの少なかった株主優待を、特にプライム区分の大企業ほど廃止する動きが相次ぎました。ところが当のプライムに属するTBSは逆張りで株主優待を新設。関係者によると、同社は他のテレビ会社と違って新聞社の系列に組み込まれていないため安定株主が少なく、かつ個人株主も少なかったからだそうです」(経済ジャーナリスト)
では何が新設されたのかというと、これまではQUOカードやアナウンサーが登場する特製カレンダー、ショッピングカードに、特待だと「レコード大賞」の観覧(1000株以上を3年以上保有、抽選)などだったが、そこに100株以上で「SASUKE」「オールスター感謝祭」のリハーサル参加の権利が加わった。
するとネットでは「い、いらねえ‥‥」といった悲しい声もあれば、テレビ局ならではのメリットに好意的な受け止めも上がった。中には株主優待で有名な「桐谷さんがリハーサル参加してたら面白い」といったネタのような話も。また、感謝祭では「年々賞金減っていってて笑う」といった声が上げられてしまっている。
そこで感謝祭の過去の賞金を見ると、かつてはピリオドごとに50万円や25万円の賞金が出ていたのが「金一封(金額は不明)」なっていたり、完全制覇の賞金は現在100万円であるのに対して、以前は500万円や250万円だったり、豪華賞品300万円分やリゾートマンション1部屋なんてこともあって、確かに隔世の感がある。
今年はサッカー・ワールドカップではABEMAが大金を投じて全試合を無料配信した一方、TBSは日本テレビ、テレビ東京と並んで放映枠購入では完全撤退。スポーツ中継の〝脱地上波〟を大きく印象付けた。株主優待の「新設」がある一方、大きな「廃止」もあったということか。
(猫間滋)