かつて〝東洋のハリウッド〟と称され、全盛期には年間200本以上の映画が製作された香港。アジアのみならず世界中に数々の名作を供給していたが、97年に中国に返還されると同国の映画業界に統合される形で急速に勢いを失うことに。さらに中国当局による厳しい検閲の影響もあり、近年は上映作品数が年間50本を下回る年もあるほどだ。
そんな香港映画がまだ元気だった80年代、〝香港映画三羽烏〟と呼ばれていたのが、ジャッキー・チェン(68)とサモ・ハン・キンポー(70)、ユン・ピョウ(65)の3人。いずれも主演級のアクションスターで、「スパルタンX」(84年)や「プロジェクトA」(85年)で共演。日本でも大ヒットを記録した。
あれから40年近い年月が経ち、今も第一線で活躍しているのはジャッキーだけ。8日、サウジアラビアのジェッタで開催中の「紅海国際映画祭」に来場し、クリス・タッカーとの共演で人気の米映画「ラッシュ・アワー」シリーズの最新作の企画が進行中であることを明かしている。
しかし、現在は中国浙江省に移り住み、21年7月の中国映画家協会の会合では「中国共産党員になりたい!」と発言。反中の香港市民の間からは〝中国共産党の犬〟と批判された。
なお、裏切り者扱いという点ではサモ・ハン・キンポーも同じ。今も香港に住んでいるが19年に民主化デモを鎮圧する香港警察の支持集会に参加したためだ。代表作「燃えよデブゴン」シリーズ当時のふくよかな面影はなく、健康問題などから激ヤセ。さらに膝を悪くしてプライベートでは杖を愛用しており、引退したわけではないがチョイ役程度の出演に留まっている。
そして、もう1人のユン・ピョウは93年にカナダへ移住。2000年代以降はドラマを中心に活動しているが、最近はセミリタイア状態とも伝えられている。また、現在はカナダ国籍ということもあり、他の2人のような中国寄りのコメントは確認されていない。
「政治的スタンスの違いはあるにせよ、3人の関係は今も良好とされ、15年に香港で行われたユン・ピョウの娘の結婚式にて勢揃いしています。香港の映画関係者の間では以前から3人の映画を熱望する声がありますが具体的な話は聞かないため、実現は難しいかもしれませんね」(映画ジャーナリスト)
映画化されれば大ヒットが期待できそうな気はするが…。