ビジネス系のチャンネルも数多く存在するYouTubeの中で、最近、主に若者から注目を集めている「経営者の動画」があるという。
「ながの社長のハッピーチャンネル」というタイトルのそれは、ある建築会社社長による会社の公式YouTubeである。8月28日現在、登録者数が57万人を超える人気チャンネルだ。いったいどんな動画なのか。
同チャンネルでは、仕事中の社長の目の前で社員が突然カセットコンロを取り出し、プロ並みの料理を作り出してしまう、というのが『お約束』の進行だ。社長は、
「おいおい!ここは会社だぞ!」「会社で焼き肉はダメだろ!」
などと息巻くのだが、結局、出来上がった料理を「うますぎる!」などと言いながら食べてしまう。まるでコントのような動画なのだ。だが、反応は上々で、
「このながの社長って何者なの?」「こんな社長がいる会社で働きたい!」
といったコメントが飛び交い、話題となっているのである。
このチャンネルの魅力について、経営者が発信するYouTubeに詳しいライターがこう話す。
「通常、会社社長によるYouTubeは、経営のノウハウや自分のこれまでの功績を語るなど、視聴者にとって退屈なものが多いのです。でも、ながの社長のチャンネルはまったく違う。本業の建築とは関係ない料理動画を出すことで、『この社長は、何をしている人なんだろう?』と、若者の心を揺さぶるという独特のコンテンツとなっている。『そんなこと言って、食べたいんでしょ?』と、社長が社員にイジられるシーンや、作ってもらった料理を美味しそうにほおばるところも、視聴者の喜ぶツボをおさえていますね。TikTokでもバズっていて、例えば会社でサムギョプサルを焼く動画では、『焼くなよ!絶対に焼くなよ!』と念を押す社長の姿に、視聴者から『僕もこの会社入りたいです!』というコメントも見られ、会社の宣伝だけではなく、人材採用の効果も出ているようです」
会社は仙台市を中心に仕事を展開しているというが、ながの社長の知名度はすでに全国区なのである。
(佐藤ちひろ)