岡村隆史やブラマヨが認めた「THE MANZAI芸人」アラフィフになった今のリアル

 今年も漫才日本一決定戦「M-1グランプリ2022」の予選がスタートした。昨年は史上最多の6017組がエントリー。大会史上最年長コンビとなった錦鯉が頂点に輝き、アラフィフの希望の灯となった。

 M-1は01年にスタートしたが、10年をもっていったん終了。15年に再開して、現在にいたる。空白の5年間、M-1に取って代わったメジャーコンテストはフジテレビ主催の「THE MANZAI」。11年はM-1との2冠王になったパンクブーブー、12年はハマカーン、13年はウーマンラッシュアワー、14年は博多華丸・大吉が優勝した。M-1と異なりエントリー制限がなかったため、実力がありながらも浮上のチャンスを逃していた漫才師が救われた。Hi-Hi(岩崎一則、上田浩二郎)もそんな1組だ。

 11年大会の生本番中、ネタを飛ばした岩崎に向けて上田が放った「お前の18年間放り込んでこい!」が、司会を務めていたナインティナインの岡村隆史に刺さった。岡村は、上田のツカミのフレーズ「パスタ巻いてる?」もお気に入り。翌12年にはHi-Hiとの共演を楽しんだ。

 ところが、Hi-Hiがテレビで活躍できたのはほんのわずか。再びライブ芸人に舞い戻り、48歳になった上田の現在の芸人稼働は月に2、3度程度。それでも、モデルでタレントの原アンナと結婚して、食うに困ることはないという。雑誌編集者は言う。

「原さんは、居酒屋の経営者。上田はその店のスーパーアルバイトで、夫婦二人三脚で店を切り盛りしているのです。結婚は2年前。Hi-Hiのファンだった原さんのほうからアプローチしたそう。上田は食えない時代に飲食店でバイトしており、その経験が今になって生きていて、同時に5品も料理を作れる必殺テクがあるといいます」

 経営は順調。妻の理解があって、上田は芸人との二足のワラジをはいている。

 ブラックマヨネーズやチュートリアルから評価されているTHE MANZAI芸人もいる。風藤松原(風藤康二、松原義和)だ。13年に本戦出場を果たしたが、大ブレイクに至らなかった。そろって大阪府出身。関西で活動していたころは、放送作家と芸人を兼務。才能があった松原は、関西で売れっ子だったブラマヨやチュートと仕事をしていた。

「松原は、吉本興業が運営する劇場の舞台進行、NGK(なんばグランド花月)の作家もやっていました。吉田敬から夜中に『ハンバーガー買うてきて』とお願いをされても、素直に買いに走る性格。小杉も『真面目にメモを取ったり、本(台本)を書いてくれてた』と評価していました」(前出・雑誌編集者)

 いつのまにか吉本と袂を分かち、上京後は太田プロダクションに入所した風藤松原。まさかの選択に、小杉は驚いたという。

 岡村やブラマヨから太鼓判を押されても、一瞬の輝きで消えるのが芸人の世界のリアル。50代に差しかかる芸人の現実は、せつないものだ。

(北村ともこ)

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