序盤戦は惨敗。敗戦に関わる歴史的な記録も更新したが、反撃態勢に…。阪神タイガースのことではない。デトロイト・タイガースの話だ。
「1947年以降、メジャーリーグでは、前半戦終了時にOPS(出塁率+長打率)が6割以下だったチームは4球団だけ。オールスターゲームまで打線が上向きにならなければ、タイガースは史上5球団目の屈辱となります。開幕前は『ひょっとしたら優勝も?』と期待されていましたが…」(在米ライター)
6月17日(現地時間、以下同)のレンジャーズ戦を終えて、24勝38敗。ア・リーグ中部地区4位と沈んでいる。
「近年は若手有望株に経験を積ませるなど、育成を重視してきました」(同)
そんなチーム再建途上にあったタイガースが「今年こそは!」と、地元ファンや米メディアに期待を抱かせたのは、昨季後半戦での巻き返し。序盤戦は9勝24敗とボロボロだったのに、だ。その快進撃を演出した若い先発陣を攻守でサポートすれば勝てる、とフロントも判断し、21−22年オフに大掛かりな補強に出たのである。
「正遊撃手として、ハビア・バイエスと『6年1億4000万ドル』で契約しました。トレードもいくつか成立させましたが、補強した選手たちがイマイチなんです」(現地記者)
今季の打撃陣を見てみると、チーム打率2割1分9厘は30球団中28位。長打率に至ってはメジャーワーストだ(3割1分5厘)。しかし、投手成績は悪くない。チーム防御率3.96は19位。ブルペン陣だけだと3.11とアップする。先発陣から故障者が続出したのは痛いが、投手力で踏ん張っている状況だ。
「今季から監督を務めているのは、AJ・ヒンチ氏です。19年までアストロズの監督でした。サイン盗みの大事件となった17年のワールドシリーズ制覇の監督です。サイン盗みに大きく関わっていないと言うものの、責任を取らされて解任されました。タイガースに迎えられ、『汚名返上』と張り切っていたんですが」(前出・在米ライター)
疑惑の指揮官が就任し、チームのモチベーションも一気に下がってしまったという。
日米のタイガースは、ともに歴史的大敗を喫し「投高打低」。“指揮官の個人的な事情”に振り回された点でも一致している。デトロイト・タイガースが巻き返してきたら…。今年の干支は「寅」。単なる偶然だろうか。
(スポーツライター・飯山満)