プロ野球の審判、「女性OK」なのに1人もいないワケとは?

 近年、サッカーの世界では各国の男子プロリーグでも女性レフェリーが増えている。日本でも山下良美審判員が昨年Jリーグデビューを果たし、今年4月にはアジアチャンピオンズリーグで主審を担当。しかも、11月開幕のカタールW杯では、代表選手になること以上に狭き門と言われる公式審判員に女性ながら日本人として唯一選出されている。

 だが、プロ野球の世界では、女性審判は本場・米国でもマイナーリーグや独立リーグにいるのみ。MLBや日本のプロ野球には1人もいない。どちらも規則上、審判の性別を指定する項目はなく、ルール上は女性でも可能だが、なぜ未だに0人のままなのだろうか?

「野球の場合、審判もシーズン中はほぼ毎日ゲームがあり、前後半合わせて90分のサッカーよりも試合時間も長い。プレー中はずっと走りっぱなしでもハーフタイムに休憩でき、週1〜2試合と年間トータルで考えると野球のほうがハード。しかも球審なら、審判用マスクやプロテクターを着けなければならず、夏場は大変。野球の審判を目指す女性が少ないのは、そうした過酷な労働環境も影響していると思われます」(スポーツ紙記者)

 また、日米ともにプロ野球界は女性審判員を受け入れる環境も整っていないという。

「日本のNPBの場合、研修期間を含めると一軍戦をジャッジできるようになるまでに最低7〜8年かかります。産休や育休制度はなく、現状では出産・子育てをする女性審判をサポートする枠組み自体がないんです」(同)

 ただし、今後はこうした課題が解消されて女性審判が誕生する可能性は高いという。

「男性にはない大きな利点があるからです。サッカーがいい例ですが、レフェリーが女性だと選手も抗議しにくくフェアプレーになる傾向が強いんです。野球では判定を巡って選手や監督が詰め寄る場面が多いため、『女性審判ならスムーズに試合が進められる』なんて前向きな意見もあります」(同)

 プロ野球の将来を考えれば、そろそろ本格的に女性審判を育成すべき段階に入っているのかもしれない。

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