桜塚やっくんの元バンドメンバーが病気で声を失っても女装で歌い続ける深いワケとは?

 2013年、自動車事故で亡くなったお笑い芸人の桜塚やっくんと「美女♂men」というバンドを組んでいたのは、女装研究家の伊織殿だ。

 現在は、ライブ活動のほか、YouTubeでメイク動画を発信しており、シリコンバストをつけて女装し、街でハント待ちをしてみたり、カゲキな水着姿も披露している。

 しかし、そんな彼には動画で見せる明るく可愛い女装姿からは想像もつかないほど壮絶な日々があったという。

 伊織殿に取材を申し込んだところ――。

「やっくんが亡くなった後も活動を続けていたんですが、突然喉に違和感を感じ病院に行ったところ、甲状腺がんと診断されました。 手術をすれば声を一時的に失うことを告げられ、アーティストの命である声を失う恐怖を感じました。退院後は歩けないのでバイトも辞め、保険も下りなかったので、早々に生活が危機的状況に陥りまして…。とにかく生きるためにYouTubeやライブ配信を始めましたが追いつかず、ついに病気のことを公には発表せず、ライブ活動を再開しました。フラフラでステージに立ち、声は出さず口パクで乗り切っていましたが、ステージ裏で何度も吐いてました…」
 
 手術から半年後、復帰ライブを開催。ところがその翌月に日本中をコロナの災禍が襲い、再び活動を休止せざるをえなかった。

「ただ、今でも唯一毎年開催しているライブがあるんです。それは『桜塚やっくんとマネージャーの追悼ライブ』です。今は規模が小さくてもいつか、バンドメンバー全員の夢だった武道館ライブを私が実現させ、桜と共に美女♂menの幕を盛大に閉じてあげたいと思っています。一人の力では到底叶わないですが、もし伊織殿の夢を少しでも後押ししてくださる方がいましたら、是非力を貸してください」

 桜塚やっくんの夢も共に叶えるべく、日々活動を続ける伊織殿にエールを送りたい。

(佐藤ちひろ)

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