現在、日本で最もメジャーな格闘技イベントといえば、那須川天心や朝倉兄弟でお馴染みの「RIZIN」だろう。だが、世界規模で人気や興行収入、選手のファイトマネーなどで不動の1位なのが米国の「UFC」。2番目がRIZINのリングにも上がる堀口恭司が主戦場にする「ベラトール」、その次がシンガポールに拠点を置く「ONE」と言われている。
このONEは現時点でのアジア最大の格闘技イベントとして認知されているが、3月26日に行われた10周年記念大会「ONE X」での注目カードのひとつが青木真也vs秋山成勲の日本人対決。ちなみに秋山は06年大晦日の桜庭和志との試合で身体にオイルを塗っていたことが反則となり、勝利が取り消しとなった通称“ヌルヌル事件”があまりに有名。この行為に格闘技ファンはもちろん、選手たちからも非難の声が上がり、なにかと強く口撃していたのが青木だった。
当時、PRIDEなどに出場していた彼はその後も第一線で活躍。現在は総合格闘家とプロレスラーの二足の草鞋を履いているが、元ONEライト級王者で海外では高い知名度を誇る中量級のトップファイターだ。
「秋山選手も桜庭戦以降、日本ではヒール扱いですが、UFCにも出場するなど実力・実績は国内屈指。それでも2人は階級が違いすぎるので対戦は絶対ないと見られていました。でも、秋山選手の13キロの過酷な減量によって試合が実現。1ラウンド目は首を極められタップ寸前まで行くなど防戦一方でしたが、2ラウンド目は打撃で反撃。見事な逆転TKO勝ちを収めました」(格闘技ライター)
しかも、秋山は46歳の大ベテラン。ファンや業界関係者の間では早くも今年のベストバウトに挙げる者も多く、16年前の汚名を自らのファイトで返上した格好だ。
「ただ、敗れた青木選手も実力は十分見せつけた。2人ともONEとの契約もあるのでRIZINに出るのは難しそうですが、どちらもメインイベントを張れる選手。見たいというファンは多いでしょうね」(同)
実現不可能に思われた那須川天心vs武尊の開催が決定したように何があるのかわからないのが格闘技界。秋山も青木もそのうち電撃参戦なんて驚きの展開があるかもしれない。