北海道沖に原発クラスの風力発電建設計画に不安の声

 寒い今の季節、暖房器具の使用などで月々の電気代はかさみがち。だが、これは単に家庭内での話に留まらず、日本全体でも電力不足という深刻な問題は起こっている。

 そんな中、ノルウェーの世界的エネルギー開発会社の「エクイノール」が、北海道の沖合に大規模な洋上風力発電所を建設する計画があることを1日の「北海道新聞」が報じた。しかし、エネルギー事情に詳しいジャーナリストは「十分な電力が供給できるか未知数な部分もある」と指摘する。

「ヨーロッパには北海など常に強風が吹く場所があり、なかでも英国は電力供給の10%が洋上風力発電。同国のジョンソン首相は『35年までに全電力を再生可能なエネルギーでまかなう』と語っています。ただし、日本の洋上風力発電は遅れており、国が復興の象徴にしようと福島沖に設置した実験用の洋上風力発電施設も、結果的には失敗に終わっています」(同)

 今回、エクイノール社が設置を計画しているのは、積丹半島南部の岩宇・南後志地区沖から北海道最南部の松前沖にかけての日本海側の4海域。陸地から10〜15キロほど離れた場所に設置する、風車を海に浮かべる「浮体式」になる予定で、総出力は泊原発のほぼ倍の約400万キロワットになる見込みだ。

「風力発電の設置コストはここ10年で下がっていますが、それでも発電コストは火力よりも高く、最も安い原子力に比べると2倍の費用がかかる。国の補助金だけではカバーしきれず、電気代が値上げされる可能性もある。ただでさえ電気料金は何度も値上げされ、過去5年間で最も高い水準にあるというのに、収入が横ばいどころか減っている中、さらに値上げされるとなれば家計へのインパクトは大きいはず」(同)

 環境のことを考えれば仕方ないとはいえ、コスト高で期待したほどの発電量が望めなければ目も当てられない。国民の理解を得るにはまだ時間がかかりそうだ。

(トシタカマサ)

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