年越しはそばだけじゃない、「年越しラーメン」という新習慣が浸透中

 今年も残りわずか。大晦日の夜に食べる物といえば「そば」が定番だが、農林水産省が20年12月に公表した「国民の食生活における和食文化の実態調査」によると、年越しそばやお節料理、雑煮などの年末年始の行事食をほぼ毎回食べると答えた人は63.7%。

 民間の調査会社が行った別のアンケートでも大晦日にそばを食べる人の割合は6割程度という結果が出ている。他には寿司やすき焼き、鍋という家庭も多いようだが、そば以外の料理を食べる人も少なくないという。
 
「讃岐うどんの本場、香川県では昔から年越しうどんが定番。稲庭うどんで有名な秋田県でもうどん派が多いです」(グルメ誌記者)

 また、同じ香川県でも小豆島ではそうめん、愛知県ではきしめん、山梨県だとほうとうを年越しに食す場合も。一方で近年全国的に増えつつあるのが年越しラーメンだ。

 実際、日本ラーメン協会では10年前から「年の瀬ラーメン」という呼び名で普及に力を入れており、ネット通販でも年越しラーメンを販売するショップが年々増えている。

「ラーメン店は日本で最も多い飲食店で、全国に約2万4000軒あります。大晦日まで営業している店も多く、中華そばを年越しそばとして食べていた人も一部ながら昔からいたんです」(同)

 ちなみに細麺とあっさり醤油スープが特徴の「高山ラーメン」で有名な岐阜県の高山市も、戦後間もない時期から年越しラーメンを食べる文化があった地域。毎年、大晦日はどの店も大勢の客で賑わいを見せている。

「全国的に寺社近くのお店、繁華街にあるお店は、大晦日に深夜や元日の朝まで特別営業するケースも珍しくありません。年中食べているとはいえ、何度食べても飽きが来ないのがラーメンの魅力ですから」(同)

 年越しそばも捨てがたいが、たまにはうどんやラーメンなど違う麺を試してみるのもよさそうだ。

(トシタカマサ)

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