列車の安全強化は「テロに屈したことになる」 古市憲寿氏の持論が波紋!

 フリーアナウンサーの加藤綾子が11月8日放送の「イット」(フジテレビ系)に出演。列車内で相次ぐ凶悪事件への対策を巡り、社会学者の古市憲寿氏と議論を展開する場面があった。

 同日、熊本県を走行中だった広島発鹿児島中央行きの九州新幹線「さくら401号」にて、69歳の男が床に液体をまき、ライターで紙に火をつけ燃やそうする放火未遂の事件が発生。男は、10月31日に東京・京王線の車内で発生した“ジョーカー男“による乗客切りつけ事件の報道を見て、自身も凶行に及んだと供述しているという。

 共に走行中の密室の列車内で起きた事件であり、加藤は「安全対策の強化が難しいとも言われてるんですけど、こうした事件をキッカケに、もっと大きなことをしてやろうってなる可能性もある。それが怖い」とさらなる模倣犯が台頭するリスクを懸念。

 しかし、古市氏は「怖いという気持ちは分かる。ただ、テロを受けて、新幹線で持ち物検査をしようとなると、それってテロに屈したことになる。テロリストって確率的には、1億人以上が住む日本にほとんどいないわけですから、その為に社会の仕組みを変えるというのはちょっと違うんじゃないのかなと思う」との姿勢を示した。

 これに加藤は「そうかぁ。なんか、確率的には低いということや、めったに起こらないって冷静になったら分かるんですけど。こうして連日起きていたりとか、それだけでは片付けられない不安感を持ってしまう。だったら、どうしたらいいんだろうと」とJR九州と京王線の事件が放ったインパクトの強さに対する不安を吐露。

 すると古市氏は「それがテロリストのやり口。社会に不安を与えて、社会を扇動しちゃうという。長期的には不遇感を無くすとか、恨みを持つ人を減らしていくということが、実は(凶行防止の)近道なんじゃないかな」と指摘。そもそも凶行に走るような境遇の人を生まない社会作りをする方が効果が早いとしたが、これにも加藤は「孤立や孤独をしっかりケアしていくという…。他に何かできないかなと思ってしまうんですけどね」と納得はしてない様子で語っていた。

「他の情報番組でも、一連の列車内での事件を受け、車内に防具アイテムの設置、各車両への警備員の配置、そして手荷物検査の実施の必要性といった様々な案が出ていますが、古市氏はそれらが“テロに屈したことになる“というスタンスです。実際には、手間やコスト面などの問題から、あまりそういった対策が進んでいないのが現状ですが、ネットでは、同氏の見解について『テロ対策で新しい規制ができたら“テロに屈した“は違う気がする』『全然違いますね。9.11が起きてから空港でのチェックがより一層厳しくなり、ハイジャック件数は激減しましたから。古市の考察だと、あれもテロに屈したという解釈なんですかね?』『予防・抑止につながる措置を否定してどうする。自動車で送り迎えなのか、どうせ在来線も利用しないから不安は感じないんだろう』との指摘が見られ、『加藤アナの感覚が一般人が感じるものに近いのでは』とする声もありました。起きた犯罪に対し、今後の対策を講じていくのは普通のことだと考える意見が目立っています」(テレビ誌ライター)

 また、京王線の犯人もまた、8月に起きた小田急線での刺傷事件に影響を受けたと説明。同事件ではサラダ油を使っての放火を図るも、火がつかず、“ジョーカー男“はそれを踏まえた上でライターオイルを使用したという。そうした入念な準備を可能にしてしまうことから、このような凶悪犯罪に関するメディアの詳報をやめるべきだとする声も出ている。

 多くの人が利用する電車内での凶行が減り、誰もが安心して乗車できるような環境作りを進めてほしいところである。

(木村慎吾)

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