没後50年・山下清ゆかりの駅そば屋は巨大な〝あの食材〟が大人気!

 今年で没後50周年を迎える放浪の天才画家、山下清。〝裸の大将〟の愛称で知られ、古くは芦谷雁之助、00年代にドランクドラゴンの塚地武雅が山下役を演じたドラマシリーズも好評で、知っている人も多いだろう。

 常磐線のJR我孫子駅(千葉県我孫子市)の駅構内にある駅そば屋『弥生軒』は、山下清ゆかりの店としてファンの間では有名。実は、1942年から約5年間、従業員としてこちらのお店で働いていたというのだ。

 当時の弥生軒は駅弁の製造・販売を行っており、後に弁当の包み紙のデザインも担当。現在、我孫子駅のホームで営業中のお店には《僕が働いて居た所です あじは、いかがですか》という山下画伯の直筆メッセージが掲げられている。

 そんな我孫子駅の弥生軒だが、鉄道ファンはもちろん、駅そば愛好家なら一度は訪れたい聖地でもある。しかも、それは山下清とは直接関係のない同店の名物グルメが目当て。どんぶりを覆うほどの大きなサイズが特徴のからあげが載った「唐揚そば」だ。

 弥生軒の駅そば屋が開業した当初にはなく、平成に入ってから登場した後発メニューだったが瞬く間に店の看板メニューに。からあげ単品で注文することも可能で、その場合もそばつゆの入ったどんぶりに入れて提供してくれるので味が染みて非常に食べ応えがある。

「我孫子駅の弥生軒といえば、唐揚そばと言われるほど業界では有名。これまでテレビや雑誌などで何度も取り上げられており、わざわざ遠方からこれを食べるためだけで訪れる人もいるくらいです」(鉄道ライター)

 大きなターミナル駅ならいざ知らず、我孫子駅くらいの規模の駅で立ち食いそば店が構内にあるのは貴重。特にコロナ禍で各地の駅そば屋の売り上げは軒並みダウンしており、閉店ラッシュが加速化するとの声もある。

 こうした個性的な駅そば屋は、訪れる人のためにもこれからも元気に営業を続けてほしいものだ。

(高島昌俊)

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