明石家さんまが初の企画・プロデュースで話題になった6月11日公開のアニメ映画『漁港の肉子ちゃん』。原作は直木賞作家の西加奈子氏のベストセラー小説、声優には木村拓哉の長女でモデルのCocomiをはじめ、大竹しのぶや吉岡里帆、マツコ・デラックスら豪華メンバーを起用。ところが、興行ランキングは公開1週目が7位、2週目は10位で、3週目以降は圏外と思わぬ苦戦を強いられている。
先日、66歳の緑寿を迎えたが多数のレギュラー番組を抱え、テレビ業界での〝お笑い怪獣〟ぶりは未だ健在。だが、結果だけ見れば大コケと評価されてもおかしくないだけに芸能界にも大きな衝撃を与えている。
「作品自体は地方のとある漁港を舞台にしたハートフルムービーで、ハッキリ言って良作です。ただ、原作小説は35万部のベストセラーを記録したとはいえ、同時期には『エヴァンゲリオン』や『ガンダム』『名探偵コナン』といった知名度・人気ともに抜群のアニメ映画が上映されていました。それにさんまさんは監督や脚本を務めたわけではありません。作品そのものに対する関わりは少なく、そこも苦戦の要因になったのかもしれません」
そう分析するのは映画ライター。北野武のように自らメガホンをとったり、脚本を手掛ける芸人監督も増えているとはいえ、興行的にヒットするケースはそれほど多くないとか。
「北野監督にしても日本より海外で評価されていますが、それでも『座頭市』(03年)は芸人が製作に関わった映画では国内歴代興行成績のトップです。賛否があったキングコングの西野亮廣のアニメ映画『えんとつ町のプペル』(20年)もこれに次ぐ売り上げを記録。他に興行成績10億円超えを果たしているのは、品川ヒロシや劇団ひとり、松本人志の一部の作品しかありません」(同)
いくら実績・人気ともに十分の芸人でもそれだけで大ヒットが記録できるほど映画の世界は甘くないようだ。
■芸人が監督・脚本を務めた映画の興行収入ベスト10
1位 28.5億円『座頭市』(03年/北野武)
2位 24.0億円『えんとつ町のプペル』(20年/西野亮廣)※原作・脚本のみ
3位 21.1億円『クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』(16年/劇団ひとり)※脚本のみ
4位 19.5億円『ドロップ』(09年/品川ヒロシ)
5位 15.9億円『アウトレイジ 最終章』(17年/北野武)
6位 16.0億円『龍三と七人の子分たち』(15年/北野武)
7位 14.5億円『アウトレイジビヨンド』(12年/北野武)
8位 11.8億円『青天の霹靂』(14年/劇団ひとり)
9位 11.6億円『大日本人』(07年/松本人志)
10位 8.8億円『BROTHER』(01年/北野武)
※アサ芸ビズ調べ