政府の“ひとり親給付金”に「もう待てない!」シンママの嘆きと支援の輪

 新型コロナの影響で、よりいっそうの困窮に陥るひとり親家庭が増加している。収入の減少もあるが、生活環境の変化への対応で思わぬ支出が増えていることも原因のひとつのようだ。貧困問題に詳しい支援NPOの職員に現状を聞いた。

「もともとの平均収入が一般より低いところに、さらに収入が半減したり、中には子供の休校・休園で出勤できないままに仕事を辞めざるえなくなったりと、月の収入がゼロになってしまうひとり親世帯が増えています。ある統計によると、収入が途絶えたひとり親世帯はおよそ2割にも及んでいるそうです。すでに家賃や光熱費を滞納していたり、子供が小学校に進学したけれども文具も揃えられない…といった話も聞きます」

 思った以上に現状は厳しいようだ。そうした中で求められるのがセーフティネットである。5月27日、厚生労働省は「低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金」の詳細を発表した。実質的に、児童扶養手当の支給対象であることなどの条件はあるが、給付額は、1世帯5万円+第2子以降1人につき3万円が基本。新型コロナの影響による収入の減少を申し出れば、さらに1世帯につき5万円が給付されることになる。

 この給付金はひとり親世帯に対して十分な救済策と言えるのだろうか。前出の職員に聞いた。

「支給額としても微妙な額だと思いますが、何より支給時期が問題です。厚労省の発表では『可能な限り8月に支給』とされています。さらに、収入減少世帯分に関しては確認もあるので9月以降とされています。すでに食費にも事欠いている世帯があり、とてもそこまでは待てない…という声も多く上がっています」

 厚労省のサイトの該当ページを見ると、受給手続について、いまだ「近日中に公表」となっているままだ(6月9日現在)。すでにネット上では《もう限界!明日のバイトの面接で落ちたらやばいところで金借りるしかない》《水商売で働こうにも働けない…1週間の食費1000円でやってきたけど貯金が尽きそう》といった声があふれていた。

 厚労省の給付金だけでは窮状を支えるのに足りないと、東京都足立区等をはじめとした区や市などの地方行政が、独自のひとり親対象の給付金支給をはじめている。さらに民間でも、子ども支援専門の国際NGOである公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパンは、5月下旬、東京23区内の新型コロナにより収入の減少を余儀なくされたひとり親家庭を対象に食料品等の援助を実施。京都市に本社を置く不動産会社が、地元限定ながら、ひとり親100世帯に10万円、計1000万円の支援を行うと発表した(6月8日正午締切)。

 新型コロナ危機、日本のセーフティネット力が試されている。

(オフィスキング)

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