2019年、男子小学生の「将来つきたい職業」ランキング(学研教育総合研究所「小学生白書」より)で1位に選ばれた職業は「YouTuber」であった。9年連続で1位を獲得し続けていた「プロサッカー選手」を抑えての1位は「将来の夢」の世代交代といえるだろう。現代社会においてYouTubeは幅広い層に浸透しており、YouTuberは子供たちの憧れの対象となっている。
今年4月には吉本興業のお笑いタレントがYouTube界に参入するなど、YouTuber人口が増加し、それぞれの動画のクオリティも高くなっていると言われる中、ネットユーザーの注目を集め「チャンネル登録者数1000人超え」という収益化の基準を満たすのはそう簡単ではない。そんなYouTuberとしてのノウハウを学ぶことができる「YouTuber養成校」ともいうべき高等学校が来春から生徒を受け入れるという。
2021年4月、“次世代メディアのクリエイターを育成する新しい専門校”を称する「バンタンクリエイターアカデミー」が東京都・恵比寿に「高等部」として開校。YouTuberに限らず、プロデューサーやイベント運営者、構成作家など映像クリエイター全般への道も開けるとしている。
さらに同校は「企業で、はたらきながら学ぶ」ことを掲げていて、実際に提携を組んでいる企業はUUUM、Cyber Agent、Abema TV、HORIPROなどメディア産業の中でも超大手ばかり。こうした企業との連携により、学生たちは在学中もインターンを活用しながら学ぶことができるという。他にも最高の設備や100%プロの講師陣が備わっており、次世代メディアのクリエイターを育成するには最高の環境だろう。入学資料によると、定員は50名で、1年目にかかる学費は110万円。私立高校の平均的な学費と変わらないが、生徒は現役YouTuber達から直接指導を受け、成功者のノウハウを学びながら「YouTubeドリーム」を目指すことができそうだ。
登録者数524万人以上の「東海オンエア」で知られる人気YouTuberの虫眼鏡氏は同校について「好きなことを仕事にするって夢みたいに聞こえますが、逆に別に好きではない仕事に40年勤めるって地獄じゃないですか?」と応援コメントを寄せている。「好きなことで、生きていく」とは数年前からCM動画などで使われたYouTubeのキャッチコピーだが、この理念が今の若者が求める生き方とマッチしているようだ。
この「YouTuber高校」の誕生にネット上ではさまざまな意見が寄せられている。
《YouTuberでなくても、動画編集できる人はこれからの社会には求められる人材になるよね》
《一期生ってことはイヤな先輩がいないから安心して入学できるかも(笑)》
《個人でもYouTubeはできるけどメディア企業に就職したいなら専門技術学べるしいいと思う》
来春入学する一期生から、ヒカキン、はじめしゃちょーに並ぶスターは誕生するのだろうか? はたまた現役生徒の中から人気YouTuberの仲間入りを果たす逸材は現れるのか? 専門教育機関の登場により、次世代のクリエイターたちはいっそう激しい競争を強いられそうだ。
(浜野ふみ)